ゆのもきゅ|Yunomi

2017/10/18 Miraicha Records
1. めんたいコズミック (feat.nicamoq)
2. 枕元にゴースト (feat.nicamoq) [w/ Aiobahn]
3. ロボティックガール (feat.nicamoq)
4. インドア系ならトラックメイカー (w/ nicamoq)
5. ゆのみっくにお茶して (feat.nicamoq)
6. サンデーモーニングコーヒー (feat.nicamoq)
7. 星降る夜のアデニウム (feat.nicamoq)
8. 東京シュノーケル (feat.nicamoq)
9. 守護霊 (feat.nicamoq)
10. ココロフロート (feat.nicamoq)
11. ダンスフロアの果実 (feat.nicamoq)
12. 明けない夜、醒めない夢 (feat.nicamoq)
13. 神様の渦 (feat.nicamoq)
14. 銀河鉄道のペンギン (feat.nicamoq) [w/ Aiobahn]
15. サ・ク・ラ・サ・ク (feat.nicamoq
16. 夢でまたあえたらなあ (feat.nicamoq)
17. ハッピーライフ (feat.nicamoq)
「Yunomi」はアイドルユニット「BPM15Q」やその後継グループ「CY8ER」に楽曲提供したことでも知られるトラックメイカー。
本作はYUC’eと共同で立ち上げた音楽レーベルMiraicha Records(未来茶レコード)から2017年にリリースされた1stフルアルバムである。
EDMやFuture Bassを基調としたハッピーでキュートなサウンドはKawaii Future Bassと呼ばれるものである。Yunomiはそこに可愛らしい女の子ボーカルをフューチャーして独自のエレクトロ・ガールポップを確立し、日本独自の文化『kawaii』とリンクした新時代のポップミュージックとして注目を集めた。
本作はゲストボーカルにBPM15Q のnicamoq(にかもきゅ)を迎えた、2010年代を代表するキュートポップの名盤である。
冒頭①は和風のリズムでダンサブルに弾ける楽しいナンバー。Nicamoqのアイドルボイスはまさに『kawaii』そのもので、日本的な旋律と相まって不思議な魅力がある。
②と⑭は韓国のAiobahnとの共作で、2人の個性的なポップセンスが存分に発揮されており秀逸。②はアップテンポな陽気な曲調だが、絶妙な切なさがじわじわと心に沁み込むのが良い。⑭はノスタルジックな感情が爆発するエモいEDMサウンドと透明感あるボーカルがベストマッチしている。
③はSF世界観の電子ポップスとして優秀なキラーチューン。近未来感溢れる切なくやるせない雰囲気に胸が締めつけられる。
④はYunomiの名前を轟かせたEDM+女子ラップの金字塔。オシャレかつキュートで、中毒性のあるリズムやユニークな語感など、センスの塊のような曲で素晴らしい。女性ボーカルを乗せたKawaii Future Bassとしても殿堂入りの名曲である。
⑤はわくわくするサウンドとふわふわと可愛らしい歌声に癒される。聴きながら紅茶でも飲みながらまったりと寛げそうだ。
⑧は美しいセンチメンタルな叙情性が光る感動的なナンバー。この不思議な聴き心地の良さは特筆すべきものがある。
⑨はおもちゃ箱をひっくり返したようなファンシーなサウンドがファンタジックで最高。
⑩はサウンドの重低音が気持ち良い。曲自体は青春ポップスであるが、重低音が違和感を残すのが面白い。⑪はワールドミュージック色あるコーラスが良い響きで、ドリーミーな世界観にトリップできる1曲。⑬は童話のような世界観の美しさに心が洗われる。歌モノとしても出来が良い。⑯はアイドルポップ風の可愛さにほっこりする。⑰はクセになるキャッチ―なリズムで理屈抜きにノリノリになれるが、意味深な歌詞は怖さがある。
Yunomiの楽曲センスが良いのはもちろんのこと、nicamoqのボーカルが非常にキュートで、このタイプの電子サウンドにぴったりである。
曲数も多いので『可愛さの万華鏡』『Kawaiiの金太郎飴』などと形容してみたくなる世界観にたっぷりと浸ることができる。
とにかく可愛い音楽が聴きたいという人に大変おすすめできる内容のアルバムだ。
Neko Hacker|Neko Hacker

2020/1/15 子猫レコード
1. From Zero feat. 利香
2. くいしんぼハッカー feat. くいしんぼあかちゃん
3. Home Sweet Home feat. KMNZ LIZ
4. Hack You feat. うごくちゃん
5. Daydream feat. mega & Sithu Aye
6. Sweet Dreams feat. 利香
7. Circulation
8. Erased feat. YuNi
9. ガチで恋するお前らへ feat. うごくちゃん
10. Night Sky feat. Mashilo & ichika
11. Chocolate Adventure feat. ななひら
12. Rainbow In The Dark feat. 利香
「Neko Hacker」は大阪出身の2人組音楽ユニットで、本作は2020年にリリースした1stフルアルバムである。全編可愛らしい女性ボーカルをフューチャーしており、EDMやFuture baseを基調としたサウンドにギターを組み合わせたKawaii Future Rockという独自のスタイルを確立している。エレクトロポップにロックフィーリングを組み合わせたキュートチューンの数々は、キラキラした躍動感満ちており気分が高揚すること必至である。
冒頭①はイントロのギターフレーズからして熱量全開でカッコいい。力強いエレクトロサウンドと利香の可愛い歌も良い。オシャレな雰囲気とロックの泥臭さが同居しており、それはまさに彼らが掲げるKawaii Future Rockと呼べるものだろう。②は電波ソングみたいなノリだが、くいしんぼあかちゃんのチャーミング魅力と溶け合うロックギターの存在感は大きいもので、理屈抜きにノリノリになれるのはさすがNeko Hackerといったところ。
キュートなセンスとサウンドの完成度はもちろんのこと、歌詞が素晴らしい③は、ネットやSNSが普及した現代的な女性ボーカルポップの名曲である。KMNZ LIZの素直な歌声はこの作風にベストマッチしている。
職人芸のような『Kawaii』に溢れる⑥を聴くと、渋谷系女子ボーカルものなどこの手の音楽好きには堪らない魅力があると思われる。爽快なギターリフとグッドメロディー、そしてキュートなボーカルと文句なしのグッドミュージックである。
④と⑨は人気YouTuberであったうごくちゃんをボーカルに迎えた曲で、不思議ちゃんっぽいキャラクター性が楽しめる。舌足らずな歌声はかなり個性的で、はっちゃけながらもどこか気怠そうな感じが面白い。⑩はichikaのギターの美しい音色など、センチメタルなサウンド&メロディーの洪水にグっとくる素敵なナンバー。ハイテンションボーカルが多い本作においてMashilo(SHACHI、CY8ER)のアイドルボイスが新鮮である。
⑪は最高のドライブ感があるキラーチューン。気持ち良いギターリフとななひらのウルトラチャーミングボイスが見事に融合しており、テンションが上がること間違いなしだ。
ロックの衝動を伝えるギターの音色はやはりNeko Hackerのサウンドの肝である。
このギターが軸となり、他のエレクトロポップとは一線を画す個性があると言える。
楽曲コンセプトも現代性を捉えており、多く人に聴いて欲しい傑作アルバムだ。
睡眠都市|大嶋啓之、茶太

2009/8/15 大嶋啓之
1. swim into the city (instrumental)
2. 飛ぶ夢を見ない
3. ハルシオン
4. うそつきライアー
5. close to close
6. パーフェクトヴァニティ
7. 睡眠都市
TVアニメひぐらしのなく頃にのエンディングテーマ『why, or why not』を手掛けたことでも知られる同人音楽家「大嶋啓之」。本作は自身のレーベルからリリースしたボーカルに茶太をフューチャーしたコンセプトアルバムである。
鬱や諦観など精神的葛藤がテーマの暗い世界観が特徴的で、エレクトロニカやアンビエントを基調としたサウンド構成に、切なく美しいメロディーを茶太が透明感あるウィスパーボイスで歌うという内容で、聴く物の心揺さぶる名盤である。
冒頭エレクトロニカサウンドのインスト曲①からシューゲイザー風のエモーショナルな名曲②への繋ぎはドラマチックで、聴き手をこの鬱々した世界観に引き込んでくれる。圧巻は後半の3曲で、最高に切ない泣きのバラード⑤、やるせなさ漂うエレクトロポップ⑥、アコースティックなエレクトロニカサウンドの⑦の三連打は、世界が閉じていくような虚無感と刹那な孤独感にこれでもかと浸らせてくれて、この作品のテーマのである絶望や諦観というものについて考えてしまう。
アルバム全体通して浮いた楽曲はひとつもなく、あくまでも一貫したテーマに沿った曲作りがされている。ボーカルの低体温さや重苦しい世界観は好みが分かれると思うが、癒しの効果も感じる作品なので、ぜひ多くの人に聴いて欲しい1枚だ。
berpop melodies & Remixies/bermei.inazawa

2005/8/14 Campanella
1. 嘘
2. 嘘ップ
3. holothurian George
4. echo
5. circle
6. rarefied song
7. メロディ
8. 嘘 (ESTi mix)
9. メロディ (mirawi mix)
10. circle (zts mix)
同人音楽サークル『studioCampanella』を主宰し、アニメの音楽なども手掛けている音楽家「bermei.inazawa」の2005年リリースの自主制作アルバム。エレクトロニカを基調とした電子ポップが基本路線で、男性ボーカルをフューチャーした楽曲やインスト曲もあるが、ゲストボーカルに女性歌手を起用することが多い。
ゲストボーカルに茶太を迎えた①は、独特の浮遊感あるエレクトロポップで、透明感という言葉がぴったりの楽曲である。霜月はるかボーカルの④は、ピアノをフューチャーした美しい電子サウンドの洪水に飲まれ、別世界にトリップしてしまう。Mayuがボーカルを務める⑦は、サックスが力強い音色を奏でるジャジーでオシャレなガールポップ。渋谷系アーティストに通じるものもあり、センスの良いポップソングのお手本のような楽曲だ。①と⑦はリミックスも収録されており、原曲より軽快でポップになった⑧と激速になった⑨が楽しめる。
同人音楽シーンが注目され始めた時期にリリースされた傑作アルバムである。bermei.inazawaの音楽センスの良さが存分に詰まっている内容となっている。
SHORT CIRCUIT II|I’ve

2007/6/22 ファクトリーレコーズ
1. ねぇ、…しようよっ!
2. ↑青春ロケット↑
3. Princess Bride!
4. ナイショ★Naiしょ
5. 新しい恋のかたち -SHORT CIRCUIT II EDIT-
6. Mighty Heart ~ある日のケンカ、いつもの恋心~
7. はじめまして、恋。
8. 乙女心+√ネコミミ=∞
9. きゅるるんkissでジャンボ♪♪
10. アナタだけのAngel☆
11. Princess Brave!
12. I’m home
13. めぃぷるシロップ
14. Double HarmoniZe Shock!!
美少女ゲームやテレビアニメ等の音楽を手掛けるサウンドチーム「I’ve」。本作は美少女ゲームタイアップ楽曲の中でも電波ソングをコンセプトに収録したコンピレーションアルバムの第2弾となる。ボーカリストとしてKOTOKO、詩月カオリ、島みやえい子が参加しており、I’veの中沢伴行、高瀬一矢、C.G mixなどのお馴染み作家陣に加えて、ボーカルを担当するKOTOKOも作詞のみならず作曲もこなしている。前作収録のKOTOKOが歌う『さくらんぼキッス ~爆発だも~ん~』に代表される頭のネジが飛んだようなハイテンションの萌えボーカルとキャッチーなメロディーの組み合わせの電波ソングは世界的に見ても異質な音楽であった。
タイトルからして直球な①はチープな電子サウンドとKOTOKOの萌えボーカル技術がたっぷりと堪能できる傑作で、謎なスペイシーな感覚もあり中毒性が高い。③はKOTOKOの韻を踏みまくるキャッチーなラップの切れ味が凄い名曲で、これも絶妙にスペイシーな感覚がありクセになる。
⑥はKOTOKOお得意のストレートな可愛らしいアニメ/ゲームソングといった感じだが、聴いて脱力させてくれるというか実にリラックスさせてくれる良い曲である。⑪はカッコいいギターが唸りを上げる熱いロックナンバーで、KOTOKOのボーカルも曲調に応じて変幻自在できるのが凄い。詩月カオリがボーカルをとる④⑩⑫は電波ソングというよりは王道アイドルポップのような曲調の胸キュンナンバーで、⑫のような意表をつくバラードも良い味がある。
電波ソングの金字塔と呼べる出来のアルバムである。中毒性の高い楽曲構築に加えて、KOTOKOのハイレベルなボーカル技術が存分に楽しめる1枚だ。
ソングブック|竹村延和 feat.アキツユコ

2001/12/21 徳間ジャパンコミュニケーションズ
1. 鏡の塔
2. 魔法のひろば
3. おばおば
4. 不思議な世界
5. つらら
6. 星のはなし
7. トゥイリルカピンポン
8. くろいろマントのはなし
9. Swimmy
10. Soleil d’eau
11. Bell buoy
12. 樹海より
13. flabby
14. かみしばい
15. Blab La La
16. 海のコンパス
17. 水たまりのおたまじゃくし
18. 月の弦
19. イーヴニング
20. vibrante
21. 湖畔への道
22. うるう
エレクトロニカなどの先悦的な作品を発表している音楽家「竹村延和」が、ゲストボーカルにアキツユコをフューチャーした『歌もの』主体のアルバムである。彼の作品の中でもポップな作風のアルバムのひとつだが、アンビエント・現代音楽的なサウンドとアキツユコの子供が歌うようなボーカルの組み合わせはアヴァンギャルドなもので、一風変わった刺激的でファンタジックなポップミュージックである。
先行シングルでは日本語ヴァージョンも収録された②は、本作では英語詩ものが収録されている。子供のイノセンスを感じさせる歌が楽しめる前半パートから、ドラムを始めとした各楽器がアグレッシブに鳴り響く後半部分まで、聴きごたえたっぷりなプログレッシブな名曲である。⑦や⑯もこの②の流れをくむような作風で、ドラムの暴れっぷりなど各楽器が競い合うようなサウンドがカッコいい。③は童話の世界に迷い込んだようなサウンドと美しい歌声が印象に残る。⑧は現代音楽風のサウンドに童謡のような歌が同居しており、目まぐるしい展開かつキュートな1曲。⑭はアキツユコのボーカルの可愛らしさ良さが存分に楽しめる美しい曲。ラスト㉒はアンビエントな作風でチルアウトできそうだ。
派手さはないがじっくりと聴かせるサウンドは細部までこだわりを感じさせるもので、邦楽女性ボーカル音楽としても類を見ないような独自の世界観にどっぷりと浸れる1枚だ。
『サクラノ詩-櫻の森の上を舞う-』ヴォーカルCD

2015 枕
1. 櫻ノ詩
2. Bright pain
3. Pica pica
4. ZYPRESSENの花束
5. 天球の下の奇蹟
6. DearMyFriend
7. 在りし日のために
8. 櫻ノ詩 - Piano Vocal ver –
9. 櫻ノ詩 – inst ver –
10. Pica pica – inst ver –
11. ZYPRESSENの花束 – inst ver –
12. 天球の下の奇蹟 – inst ver –
13. DearMyFriend – inst ver –
14. 在りし日のために – inst ver –
15. 櫻ノ詩 - Piano inst ver –
本作は美少女ゲーム「サクラノ詩」の歌曲を集めたCDコレクションである。ゲームブランド『ケロQ』のゲーム音楽を手掛ける松本文紀やピクセルビーはオルタナティヴロックへの造詣が深く、エモーショナルなギターサウンドを軸にした楽曲に透明感のあるキュートな女性ボーカルを組み合わせるのが非常に上手。本作ではメロディーセンスに更に磨きがかかり、ゲーム音楽の中でも完成度が高い女性ボーカルポップを楽しむことができる1枚だ。ボーカルは、①⑤⑥はな、②橋本みゆき、③④⑦monetの3名が担当している。
松本文紀が作曲・編曲した①⑤⑥はどれも出来が良いが注目はゲームのOP曲である①の名曲ぶりである。美しいピアノのイントロからアグレッシブなサウンドが疾走し、感傷的なメロディーをはながキュートに歌い上げる。哲学的な歌詞も素晴らしく、言葉の意味深な響きが力強いメロディーと組み合わさり音楽として大きなうねりをもたらしてくれる。⑤もノスタルジックなメロディーが刺さるエレクトロポップで、はなの可愛らしい歌声も良い。⑥はお得意のエモーショナルなギターが唸りを上げるオルタナティヴロックで切なくカッコいい。ピクセルビーが作曲・編曲した③は浮遊感漂うギターサウンドと美しいボーカルが中毒性を生み出すシューゲイザー楽曲と言える秀逸な曲。⑦もピクセルビーによるポップなメロディーと爽快なギターロックサウンドが楽しめる。
ゲーム歌曲の歴史に残りそうな①を筆頭にノスタルジックなメロディーにぴったりとあった女性ボーカルが楽しめる1枚である。
SIRENS|空色ナイフ

2016/4/28
1. セイレーン
2. LIVEWELL
3. リトル・ストーリー
4. 夏の雨
5. 螺旋状のアリア
6. 空色
7. 月と青猫
8. 叫びと祈り
「日々の憂鬱や焦燥を切り開く音楽」をテーマに作品を発表している同人サークル「空色ナイフ」の1stアルバム。
サークル主・ユヤによる詩的世界観をオルタナティブロック系のサウンドと女性ボーカル(めらみぽっぷが担当)で表現している。注目は本作でメインの作曲・編曲を手掛ける松本文紀である。主に美少女ゲームの音楽を手掛けており、2010年の『空気力学少女と少年の詩』から始まり、『さくらとことり』(2013)、『櫻ノ詩』(2015)、『刻ト詩』(2023)と名曲を連発。
女性ボーカルの透明感やキュートな声質に合う楽曲として【これしかない!】という理想的な旋律を生み出す奇才である。本作はタイアップなしでその音楽センスがたっぷりと楽しめるお得な内容。ユヤ、松本文紀、めらみぽっぷが作り出す美しく幻想的な世界観に引き込まれる1枚だ。
冒頭①から期待を裏切らず、松本文紀節が炸裂。エモーショナルなギターの音色と切ないメロディーを歌う透明感あるボーカルがファンタジックな物語の幕開けを告げる。続く②も勢いそのままにメロディアスに疾走し、情緒たっぷりの歌いあげるボーカルに胸が熱くなる。
③はミステリアス&ドラマチックな雰囲気にぞくぞくするナンバーで、こちらも切なくて熱い。④はミドルテンポでじっくりと盛り上げる曲で、ギターリフと歌メロの良さが印象に残る。⑤はシンフォニック系のプログレっぽいインスト曲で、美しいピアノの旋律を主体に各楽器が奏でる刺激的なアンサンブルが楽しめる。
⑥は本作では唯一松本文紀ではなくアルクが作曲した楽曲。アルバムの中で浮いた印象はなくしっかりとこの世界観に溶け込んでおり良い。
⑧は幻想的な揺らぎのあるサウンドが切ない雰囲気をぐいぐいと盛り上げてくれる。耳に残るサビのメロディー、透き通った歌声や歌詞の美しさなど、ドラマチックな淡く儚い感傷に気持ち良く浸れる。
ユヤが紡ぎ出す物語を松本文紀が見事に音楽として表現した力作である。オルタナティブロックを主軸にしながらも女性ボーカルということを考慮した曲作りはさすがの一言で、その才能が存分に発揮されている内容だ。
10th Anniversary Bad Apple!! feat.nomico PHASE 3|Alstroemeria Records

2018/8/10 Alstroemeria Records
ディスク1
1 Bad Apple!! feat.nomico / nomico
2 Bad Apple!! feat.nomico (Animelo Summer Live 2010 Edit) / nomico
3 Bad Apple!! feat.nomico (2014 REFIX) (from FLASHLIGHT) / nomico
4 Bad Apple!! feat.nomico (博麗神社うた祭 2016 Edit) / nomico
5 Bad Apple!! feat.nomico (TOS Remix) feat. 抹, ytr / nomico, 抹, ytr
6 Bad Apple!! feat.nomico (HYPER RAVE Remix) / nomico
7 Bad Apple!! feat.nomico (ELEMENTAS Remix) / nomico
8 Bad Apple!! feat.nomico (豚乙女 Ver.) / ランコ
9 Bad Apple!! feat.nomico (COOL&CREATE Ver.) / ビートまりおxあまね
10 Bad Apple!! feat.nomico (ARMx狐夢想 Remix) / nomico, ayame, Masayoshi Minoshima
11 Bad Apple!! feat.nomico (Marasy Ver.)
12 Bad Apple!! feat.nomico (Instrumental)
ディスク2
1. Bad Apple!! feat.nomico (Nhato Remix) / nomico
2. Bad Apple!! feat.nomico (Camellia’s “Bad Psy” Remix) / nomico
3. Bad Apple!! feat.nomico (Nardis Remix) / nomico
4. Bad Apple!! feat.nomico (ALR Remix) / nomico
5. Bad Apple!! feat.nomico (Tracy + Astronomical Remix) / nomico
6. Bad Apple!! feat.nomico (REDALiCE Remix) / nomico
7. Bad Apple!! feat.nomico (ZYTOKINE Remix) / nomico
8. Bad Apple!! feat.nomico (MK Remix) / nomico
9. Bad Apple!! feat.nomico (SIMIAN NOISE Remix) / nomico
10. Bad Apple!! feat.nomico (Graphtech Remix) / nomico
11. Bad Apple!! feat.nomico (Marasy + Masayoshi Minoshima)
東方アレンジを代表する曲として有名な『Bad Apple!! feat.nomico』のアレンジやカバーも含めてすべて網羅した2枚組の編集盤。
東方アレンジとはZUNが制作している同人弾幕シューティングゲーム東方ProjectシリーズのBGMを同人サークルがアレンジするという音楽ジャンル。
元曲の『Bad Apple!!』は1998年発売の『東方幻想郷 ~ Lotus Land Story.』の3面テーマ曲で、同人サークル「Alstroemeria Records」によってnomico(のみこ)のボーカル入りとしてアレンジしたものが2007年発表の『Bad Apple!! feat.nomico』となる。曲に合わせた影絵PVは動画サイトで驚異的な再生回数を記録しており、東方アレンジ女性ボーカル曲としては最も知名度が高い。
ディスク1の①が基本形となる原曲であり、オーソドックスなスタイルとして記憶しておくとよりその後のアレンジが楽しめるだろう。
当時全盛を誇っていた「Perfume」や「CAPSULE」などの中田ヤスタカ系に通じるブリブリした太いベースが特徴的なエレクトロポップで、ずっしりとしたサウンドに哀愁帯びた切ないメロディーを可愛い声で淡々と歌うnomicoのボーカルがばっちりとハマっており中毒性が高い。
ディスク1では原曲やリミックス以外にも他の同人サークルによるカバーが収録されている。
③は音の広がりを感じる立体感あるサウンドが光る良いアレンジ。⑤は抹、ytrのラップをフューチャーした大胆なリミックスでユニークな魅力がある。⑥はフロア仕様の爆走するテクノアレンジでアゲアゲな気分になれる。⑧は音楽ユニット豚乙女によるカバーで、ランコのワイルドなボーカルがカッコいい。
⑨は【えーりん!えーりん!】でお馴染みのビートまりお率いるCOOL&CREATEによるカバーで、男女ツインボーカルのダイナミックな熱量を感じる出来となっている。⑩はARMx狐夢想によるリミックスで、自分達の個性を全面に出したぶっ飛んだアレンジがインパクト絶大。
ディスク2は更に深く踏み込んだような面白いアレンジが多数聴ける。
①はブリブリでバキバキなダンスビートがパワフルで気持ち良い。②はノイジーな電子サウンドの個性的なアレンジでセンスが光る。
④は美しいスペーシー感が心地良いリミックス。⑥はハイテンションになれる高速リズムが気持ち良い。
⑨はノイジーに歪ませたアレンジであるが、一風変わった音ゆえにメロディーが普遍的な魅力を持っていることがよく分かる。⑩は原曲とはまったく違う歪みやねじれた電子音のアレンジかと思いきや、しっかりと原曲の良さを殺さない出来となっており秀逸。
元々がアレンジ曲であるにも関わらず、更にそれをアレンジしまくる興味深い内容となっている。アバンギャルドな作風のものもあるが、根底にあるのはこの曲への愛情である。愛される名曲を各自のアレンジで愛情表現しているように聴こえる楽しい1枚だ。
Screamin’ Showcase|t+pazolite & ななひら

2021/12/31 C.H.S
1. Screamin’ Showcase
2. キラメケ→Shoot it Now! (SSLong ver.)
3. アイツラゲイナゲイン
4. ピコPico*とらんすれーしょんっ!(with Cranky & Pico)
5. Hardcore ASMR
6. Ukakuf Kins (SSLong ver.)
7. ONOMATO Pairing!!! (SSLong ver.)
8. Otsukimi Party Hard (SSRemake)
9. めっちゃ煽ってくるタイプの音ゲーボス曲ちゃんなんかに負けないが?????
10. なんかずるいな
太古の達人などの音楽ゲームへの楽曲提供でも有名な音楽家「t+pazolite」が、キュートボイスに定評のあるボーカリスト「ななひら」をフューチャーしたアルバム。内容は基本的には彼が得意とする高速ハードコアテクノにななひらのチャーミングな歌声が乗るというもので、怒涛のように押し寄せる萌える電子ポップは気分をアゲアゲにしてくれる。
そして本作で注目すべき大きなポイントは、随所に感じられるメタな視点が冴えている実験性である。曲によってはかなり面白いアイデアを駆使しており、その発想の鋭さが非常に興味深い。
冒頭①はシンフォニックなイントロとななひらの小悪魔っぽい笑い声をスタートにフルスロットルで疾走する。畳みかけるテクノサウンドにはっちゃけた歌声が見事にハマっており、このコンビの音楽的な相性の良さが感じられる。
続く②は更に頭のネジを飛ばした可愛らしさに振っている王道電波ソング。爆走するハッピーハードコアサウンドとアニメキャラのような萌えるボーカルの組み合わせがグッドだ。
④はCranky & Picoをフューチャーしたユニークな発想が光る1曲。Pico言語で歌われる壮大な雰囲気のPicoの歌をななひらが追っかけて翻訳していくというもので、その翻訳が『風邪をひいて体がだるいが無理して歌っています』という日常的な内容である。サビではPicoとななひらのユニゾンもあり、これも個性的で面白い。歌姫からは神々しいオーラを感じることがあるが、それをメタな視点で解体した挑戦的な作品だ。
⑤はASMR(同人音声)をテーマにした曲である。アンビエントな雰囲気のサウンドにロリ声での囁きという、同人音声ではよくある導入から始まる。同人音声ならこの前振りからここでは書けないようなエロい展開になるのだが、そこで意表を突く激烈なハードコアテクノが炸裂する展開になる。こちらもよく閃いたと感心する曲だ。
⑦は音ゲーで盛り上がること必至の音展開とキュートな歌声がいい感じにミックスされている。⑨は音ゲーでよくある高難易度の展開をパロディにしたもので、よくプレイする人には共感を得そうでこれまた面白いナンバー。
音ゲーに使用されている曲もあるので、基本的にはそちらのファンに向けたアルバムではあると思うが、④などの着眼点の鋭さは特筆すべきものがあり、色々な楽しみ方ができる1枚となっている。
MOE MOE|MOE SHOP

2018/7/4 MOE SHOP RECORDINGS
1. Magic (w/MYLK)
2. Virtual (w/Puniden)
3. Baby Pink (w/YUC’e)
4. Lovesick (w/maisou)
5. Notice (w/TORIENA)
6. Fantasy (w/MONICO)
7. Magic (Instrumental)
8. Virtual (Instrumental)
9. Baby Pink (Instrumental)
10. Lovesick (Instrumental)
11. Notice (Instrumental)
12. Fantasy (Instrumental)
東京を拠点に活動しているフランス出身のトラックメーカー「MOE SHOP」のEP作品。
音楽性はFuture Funkと呼ばれるシティポップやJ-POPからの影響が色濃いエレクトロポップと日本のアニメや萌えなどのオタク文化を融合させた独自のエレクトロミュージックである。
Snail’s Houseと共作したKawaii Future Bassを代表する名曲『Pastel』(2017)などの音楽シーンに鮮烈な印象を残した重要曲を発表している。本作では、Puniden(ぷにぷに電機)、YUC’e、TORIENA、モニ子などの女性ボーカルをフューチャーした、ラップを主軸としたキュートなエレクトロポップを聴くことができる。
冒頭①はMYLKの可愛い歌と軽快にステップ踏めそうな打ち込みサウンドが印象に残る。萌えをオシャレに解釈しているのがMOE SHOPの真骨頂である。中田ヤスタカ系に通じる質感もあるので、その系統が好きなら気に入るだろう。②はぷにぷに電機のウィスパーボイスのラップなど、キュートなフィーリングが光る。ぷにぷに電機は都会的な大人の雰囲気を感じる歌声を聴かせることが多いが、本曲のような可愛い魅力は彼の作風にぴったりだ。
③はボーカルにYUC’eをフューチャーしており、音楽的にも相性が良いと言えるコンビによるキラキラした洒落たダンスポップ。こちらも可愛いラップが良い味を出しており、フロアで盛り上がりそうなダンサブルな曲調と相まっていい感じに気分が上がる。
⑤は思春期の女子が先輩に抱く恋心をクールなラップで表現したキラーチューン。テンポやリズムの軽やかさかとTORIENAの女子高生みたいな声質と淡々とした歌い回しが中毒性を生み出しており秀逸。⑥は不思議な感覚の浮遊感ある電子サウンドとモニ子のアンニュイな雰囲気の歌声が別世界に誘ってくれる。ポップでキュートであるが、同時にダウナーであるのが良い塩梅となっている。
イメージ的には都会の10代女子という感じのリアルと二次元キャラクター等のオタク文化の萌えをミックスした音楽表現である。萌えをテーマにしているが、100%そちらに振ってないのがポイント。現実と虚構の間を漂うオシャレなガールズポップがふんだんに楽しめる1枚となっている。