その他(2000年代~2010年代~2020年代)

ゆのもきゅ|Yunomi 

2017/10/18   Miraicha Records

1. めんたいコズミック (feat.nicamoq)
2. 枕元にゴースト (feat.nicamoq) [w/ Aiobahn]
3. ロボティックガール (feat.nicamoq)
4. インドア系ならトラックメイカー (w/ nicamoq)
5. ゆのみっくにお茶して (feat.nicamoq)
6. サンデーモーニングコーヒー (feat.nicamoq)
7. 星降る夜のアデニウム (feat.nicamoq)
8. 東京シュノーケル (feat.nicamoq)
9. 守護霊 (feat.nicamoq)
10. ココロフロート (feat.nicamoq)
11. ダンスフロアの果実 (feat.nicamoq)
12. 明けない夜、醒めない夢 (feat.nicamoq)
13. 神様の渦 (feat.nicamoq)
14. 銀河鉄道のペンギン (feat.nicamoq) [w/ Aiobahn]
15. サ・ク・ラ・サ・ク (feat.nicamoq)
16. 夢でまたあえたらなあ (feat.nicamoq)
17. ハッピーライフ (feat.nicamoq)

Yunomiはアイドルユニット「BPM15Q」やその後継グループ「CY8ER」に楽曲提供したことでも知られるトラックメイカーで、本作はYUC’eと共同で立ち上げた音楽レーベルの未来茶レコードから2017年にリリースされた1stフルアルバムである。

EDMやFuture Bassを基調としたハッピーでキュートなサウンドはKawaii Future Bassと呼ばれ、そこに可愛らしい女の子ボーカルが同居するエレクトロ・ガールポップは、日本独自のサブカル文化とリンクした新時代のポップミュージックとして注目を集めた。本作はゲストボーカルにBPM15Q のnicamoq(にかもきゅ)を迎えた、このジャンルを代表する名盤のひとつである。

佳曲が揃っている充実した内容のアルバムであるが、特に④はYunomiの名前を轟かせたEDMラップの金字塔で、オシャレかつキュートでクセになるリズムとユニークな語感など、センスの塊のような曲で素晴らしい。他にも日本的な旋律が印象的なダンサブルなナンバー①、歌メロが良いテクノポップで、切ないSF世界観に胸が締め付けられる③、タイトルからして可愛い、ふわふわしたポップソングの⑤、可愛らしさ全開で、重低音が気持ち良い⑩など、傑作揃いである。またAiobahnとの共作となる②や⑭も音の細部にこだわりを感じる、職人芸のようなエレクトロ・ガールポップを楽しむことができる。

Yunomiの楽曲センスが良いのはもちろんのこと、nicamoqのボーカルが非常にキュートで、このタイプの電子サウンドにぴったりである。とにかく可愛い音楽が聴きたいという人に大変おすすめできる内容のアルバムだ。

Neko Hacker|Neko Hacker 

2020/1/15 子猫レコード

1. From Zero feat. 利香
2. くいしんぼハッカー feat. くいしんぼあかちゃん
3. Home Sweet Home feat. KMNZ LIZ
4. Hack You feat. うごくちゃん
5. Daydream feat. mega & Sithu Aye
6. Sweet Dreams feat. 利香
7. Interlude(タイトル未定)
8. Erased feat. YuNi
9. ガチで恋するお前らへ feat. うごくちゃん
10. Night Sky feat. Mashilo & ichika
11. Chocolate Adventure feat. ななひら
12. Rainbow In The Dark feat. 利香

「Neko Hacker」は2人組のトラックメーカーユニットで、本作は2020年にリリースした1stフルアルバムである。全編可愛らしい女性ボーカルをフューチャーしており、EDMやFuture baseを基調としたサウンドにギターを組み合わせたKawaii Future Rockという独自のスタイルを確立している。

キュートな楽曲センスとサウンドの完成度はもちろんのこと、歌詞が素晴らしい③はネットやSNSが普及した現代的な女性ボーカルポップの名曲といえるだろう。職人芸のような「Kawaii」に溢れる⑥を聴くと、渋谷系女子ボーカルものなどこの手の音楽好きには堪らない魅力があると思われる。④と⑨は人気YouTuberであったうごくちゃんをボーカルに迎えた楽曲で、不思議ちゃんっぽいキャラクター性が楽しめる。爽快に疾走するチャーミングな⑪はギターの音色が心地良くて、はっちゃけたボーカルも印象に残る傑作である。

良質なエレクトロなガールポップがふんだんに楽しめる内容で、ギターサウンドがいい味を出している。楽曲コンセプトも現代性を捉えており、多く人に聴いて欲しい傑作アルバムだ。

睡眠都市|大嶋啓之、茶太  

2009/8/15 大嶋啓之

1. swim into the city (instrumental)
2. 飛ぶ夢を見ない
3. ハルシオン
4. うそつきライアー
5. close to close
6. パーフェクトヴァニティ
7. 睡眠都市

TVアニメひぐらしのなく頃にのエンディングテーマ『why, or why not』を手掛けたことでも知られる同人音楽家「大嶋啓之」。本作は自身のレーベルからリリースしたボーカルに茶太をフューチャーしたコンセプトアルバムである。

鬱や諦観など精神的葛藤がテーマの暗い世界観が特徴的で、エレクトロニカやアンビエントを基調としたサウンド構成に、切なく美しいメロディーを茶太が透明感あるウィスパーボイスで歌うという内容で、聴く物の心揺さぶる名盤である。

冒頭エレクトロニカサウンドのインスト曲①からシューゲイザー風のエモーショナルな名曲②への繋ぎはドラマチックで、聴き手をこの鬱々した世界観に引き込んでくれる。圧巻は後半の3曲で、最高に切ない泣きのバラード⑤、やるせなさ漂うエレクトロポップ⑥、アコースティックなエレクトロニカサウンドの⑦の三連打は、世界が閉じていくような虚無感と刹那な孤独感にこれでもかと浸らせてくれて、この作品のテーマのである絶望や諦観というものについて考えてしまう。

アルバム全体通して浮いた楽曲はひとつもなく、あくまでも一貫したテーマに沿った曲作りがされている。ボーカルの低体温さや重苦しい世界観は好みが分かれると思うが、癒しの効果も感じる作品なので、ぜひ多くの人に聴いて欲しい1枚だ。

berpop melodies & Remixies/bermei.inazawa

2005/8/14  ‎ Campanella 

1. 嘘
2. 嘘ップ
3. holothurian George
4. echo
5. circle
6. rarefied song
7. メロディ
8. 嘘 (ESTi mix)
9. メロディ (mirawi mix)
10. circle (zts mix)

同人音楽サークル『studioCampanella』を主宰し、アニメの音楽なども手掛けている音楽家「bermei.inazawa」の2005年リリースの自主制作アルバム。エレクトロニカを基調とした電子ポップが基本路線で、男性ボーカルをフューチャーした楽曲やインスト曲もあるが、ゲストボーカルに女性歌手を起用することが多い。

ゲストボーカルに茶太を迎えた①は、独特の浮遊感あるエレクトロポップで、透明感という言葉がぴったりの楽曲である。霜月はるかボーカルの④は、ピアノをフューチャーした美しい電子サウンドの洪水に飲まれ、別世界にトリップしてしまう。Mayuがボーカルを務める⑦は、サックスが力強い音色を奏でるジャジーでオシャレなガールポップ。渋谷系アーティストに通じるものもあり、センスの良いポップソングのお手本のような楽曲だ。①と⑦はリミックスも収録されており、原曲より軽快でポップになった⑧と激速になった⑨が楽しめる。

同人音楽シーンが注目され始めた時期にリリースされた傑作アルバムである。bermei.inazawaの音楽センスの良さが存分に詰まっている内容となっている。

SHORT CIRCUIT II|I’ve 

2007/6/22 ‎ ファクトリーレコーズ

1. ねぇ、…しようよっ!
2. ↑青春ロケット↑
3. Princess Bride!
4. ナイショ★Naiしょ
5. 新しい恋のかたち -SHORT CIRCUIT II EDIT-
6. Mighty Heart ~ある日のケンカ、いつもの恋心~
7. はじめまして、恋。
8. 乙女心+√ネコミミ=∞
9. きゅるるんkissでジャンボ♪♪
10. アナタだけのAngel☆
11. Princess Brave!
12. I’m home
13. めぃぷるシロップ
14. Double HarmoniZe Shock!!

美少女ゲームやテレビアニメ等の音楽を手掛けるサウンドチーム「I’ve」。本作は美少女ゲームタイアップ楽曲の中でも電波ソングをコンセプトに収録したコンピレーションアルバムの第2弾となる。ボーカリストとしてKOTOKO、詩月カオリ、島みやえい子が参加しており、I’veの中沢伴行、高瀬一矢、C.G mixなどのお馴染み作家陣に加えて、ボーカルを担当するKOTOKOも作詞のみならず作曲もこなしている。前作収録のKOTOKOが歌う『さくらんぼキッス ~爆発だも~ん~』に代表される頭のネジが飛んだようなハイテンションの萌えボーカルとキャッチーなメロディーの組み合わせの電波ソングは世界的に見ても異質な音楽であった。

タイトルからして直球な①はチープな電子サウンドとKOTOKOの萌えボーカル技術がたっぷりと堪能できる傑作で、謎なスペイシーな感覚もあり中毒性が高い。③はKOTOKOの韻を踏みまくるキャッチーなラップの切れ味が凄い名曲で、これも絶妙にスペイシーな感覚がありクセになる。
⑥はKOTOKOお得意のストレートな可愛らしいアニメ/ゲームソングといった感じだが、聴いて脱力させてくれるというか実にリラックスさせてくれる良い曲である。⑪はカッコいいギターが唸りを上げる熱いロックナンバーで、KOTOKOのボーカルも曲調に応じて変幻自在できるのが凄い。詩月カオリがボーカルをとる④⑩⑫は電波ソングというよりは王道アイドルポップのような曲調の胸キュンナンバーで、⑫のような意表をつくバラードも良い味がある。

電波ソングの金字塔と呼べる出来のアルバムである。中毒性の高い楽曲構築に加えて、KOTOKOのハイレベルなボーカル技術が存分に楽しめる1枚だ。

ソングブック|竹村延和 feat.アキツユコ

2001/12/21 徳間ジャパンコミュニケーションズ

1. 鏡の塔
2. 魔法のひろば
3. おばおば
4. 不思議な世界
5. つらら
6. 星のはなし
7. トゥイリルカピンポン
8. くろいろマントのはなし
9. Swimmy
10. Soleil d’eau
11. Bell buoy
12. 樹海より
13. flabby
14. かみしばい
15. Blab La La
16. 海のコンパス
17. 水たまりのおたまじゃくし
18. 月の弦
19. イーヴニング
20. vibrante
21. 湖畔への道
22. うるう

エレクトロニカなどの先悦的な作品を発表している音楽家「竹村延和」が、ゲストボーカルにアキツユコをフューチャーした『歌もの』主体のアルバムである。彼の作品の中でもポップな作風のアルバムのひとつだが、アンビエント・現代音楽的なサウンドとアキツユコの子供が歌うようなボーカルの組み合わせはアヴァンギャルドなもので、一風変わった刺激的でファンタジックなポップミュージックである。

先行シングルでは日本語ヴァージョンも収録された②は、本作では英語詩ものが収録されている。子供のイノセンスを感じさせる歌が楽しめる前半パートから、ドラムを始めとした各楽器がアグレッシブに鳴り響く後半部分まで、聴きごたえたっぷりなプログレッシブな名曲である。⑦や⑯もこの②の流れをくむような作風で、ドラムの暴れっぷりなど各楽器が競い合うようなサウンドがカッコいい。③は童話の世界に迷い込んだようなサウンドと美しい歌声が印象に残る。⑧は現代音楽風のサウンドに童謡のような歌が同居しており、目まぐるしい展開かつキュートな1曲。⑭はアキツユコのボーカルの可愛らしさ良さが存分に楽しめる美しい曲。ラスト㉒はアンビエントな作風でチルアウトできそうだ。

派手さはないがじっくりと聴かせるサウンドは細部までこだわりを感じさせるもので、邦楽女性ボーカル音楽としても類を見ないような独自の世界観にどっぷりと浸れる1枚だ。

『サクラノ詩-櫻の森の上を舞う-』ヴォーカルCD

2015 枕

1. 櫻ノ詩
2. Bright pain
3. Pica pica
4. ZYPRESSENの花束
5. 天球の下の奇蹟
6. DearMyFriend
7. 在りし日のために
8. 櫻ノ詩 - Piano Vocal ver –
9. 櫻ノ詩 – inst ver –
10. Pica pica – inst ver –
11. ZYPRESSENの花束 – inst ver –
12. 天球の下の奇蹟 – inst ver –
13. DearMyFriend – inst ver –
14. 在りし日のために – inst ver –
15. 櫻ノ詩 - Piano inst ver –

本作は美少女ゲーム「サクラノ詩」の歌曲を集めたCDコレクションである。ゲームブランド『ケロQ』のゲーム音楽を手掛ける松本文紀やピクセルビーはオルタナティヴロックへの造詣が深く、エモーショナルなギターサウンドを軸にした楽曲に透明感のあるキュートな女性ボーカルを組み合わせるのが非常に上手。本作ではメロディーセンスに更に磨きがかかり、ゲーム音楽の中でも完成度が高い女性ボーカルポップを楽しむことができる1枚だ。ボーカルは、①⑤⑥はな、②橋本みゆき、③④⑦monetの3名が担当している。

松本文紀が作曲・編曲した①⑤⑥はどれも出来が良いが注目はゲームのOP曲である①の名曲ぶりである。美しいピアノのイントロからアグレッシブなサウンドが疾走し、感傷的なメロディーをはながキュートに歌い上げる。哲学的な歌詞も素晴らしく、言葉の意味深な響きが力強いメロディーと組み合わさり音楽として大きなうねりをもたらしてくれる。⑤もノスタルジックなメロディーが刺さるエレクトロポップで、はなの可愛らしい歌声も良い。⑥はお得意のエモーショナルなギターが唸りを上げるオルタナティヴロックで切なくカッコいい。ピクセルビーが作曲・編曲した③は浮遊感漂うギターサウンドと美しいボーカルが中毒性を生み出すシューゲイザー楽曲と言える秀逸な曲。⑦もピクセルビーによるポップなメロディーと爽快なギターロックサウンドが楽しめる。

ゲーム歌曲の歴史に残りそうな①を筆頭にノスタルジックなメロディーにぴったりとあった女性ボーカルが楽しめる1枚である。

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