ニッポンChu!Chu!Chu!|ベイビーレイズJAPAN

2016/9/21 ポニーキャニオン
ディスク1
1. Ride On IDOROCK
2. 虎虎タイガー!!
3. 閃光Believer
4. シンデレラじゃいられない
5. Pretty Little Baby
6. 真夏のフィーバー!
7. Baby Kiss
8. 栄光サンライズ
9. 走れ、走れ
10. 少しだけ
11. 夜明けBrand New Days
12. ニッポンChu!Chu!Chu!
ディスク2
1. overture (ベイビーレイズJAPAN電撃の雷舞!2015)
2. ベイビーレイズ (ベイビーレイズJAPAN電撃の雷舞!2015)
3. ベイビーレボリューション (ベイビーレイズJAPAN SUMMER LIVE2015)
4. JUMP (ベイビーレイズJAPAN電撃の雷舞!2015)
5. ベイビーアンビシャス! (ベイビーレイズJAPAN電撃の雷舞!2015)
6. 暦の上ではディセンバー (ベイビーレイズJAPAN電撃の雷舞!2015)
7. 恋はパニック (ベイビーレイズJAPAN電撃の雷舞!2015)
8. ぶっちゃけRock’n はっちゃけRoll (ベイビーレイズJAPAN電撃の雷舞!2015)
9. ベイビーステップ (ベイビーレイズJAPAN SUMMER LIVE2015)
10. 虎虎タイガー!! (ベイビーレイズJAPAN電撃の雷舞!2015)
11. 栄光サンライズ (ベイビーレイズJAPAN SUMMER LIVE2015)
12. 夜明けBrand New Days (ベイビーレイズJAPAN電撃の雷舞!2015)
13. Pretty Little Baby (ベイビーレイズJAPAN電撃の雷舞!2015)
14. 走れ、走れ (ベイビーレイズJAPAN電撃の雷舞!2015)
「ベイビーレイズJAPAN」は2012年から2018年まで活動していたアイドルグループ。
本作は2枚目となるアルバムで、これはボーナスCDとしてライブ音源集が付属している初回限定盤Bである。
当初はベイビーレイズと名乗っていたが、2015年に改名している。2013年にNHK連続テレビ小説 あまちゃんに登場する架空のアイドルグループ「アメ横女学園芸能コース」(ベイビーレイズ+声優の水瀬いのり)の楽曲『暦の上ではディセンバー』で大きな注目が集まり、その後、日本武道館公演を実現するなど、ガールズロック系のアイドルグループとして人気を獲得した。
本作はボカロ音楽や美少女ゲームの楽曲で絶大な支持を得ている堀江晶太が手掛けたアンセム『夜明けBrand New Days』を筆頭に熱量あるアイドルロックが次々に繰り出される手に汗握る内容である。
ディスク1がアルバム本編となる。
冒頭①は作詞/作曲を前山田健一が手掛けたベイビーレイズJAPANの自己紹介ソング。
実にアイドルらしいロックというか、はっちゃけたノリノリの雰囲気に元気が貰える。
続く②はアイドル楽曲に定評のある玉屋2060%が提供した軽快なポップロック。テンポ良くリズミカルに展開させる玉屋2060%節が炸裂しておりさすがの出来である。聴き手が小難しく構えていようが、チャーミングな歌で一気に畳みかけて理屈抜きの楽しい世界観に引き込むところはアイドルポップとしては大正義と言えるだろう。
③は堀江晶太が手掛けた直球のポップロックで、メロディックなビートとアイドルのキラキラした躍動感が見事に組み合わさるキラーチューン。すんなり耳に馴染む柔らかいポップ感はさすがと言ったところだ。
④も堀江晶太が作曲/編曲したアグレッシブなアイドルロック。ハードロックサウンドの疾走感とキャッチ―なメロディーを畳みかけるのが快感で中毒性が高い。
⑤はキュートなオールドロックという感じで良い。この曲は渡會将士(FoZZtone)が手掛けている。⑥はメロディラップバンドLIFriendsが提供している。ウルトラキャッチーなサマーソングで気分爽快だ。
⑧は玉屋2060%(作詞/作曲)×堀江晶太(編曲)という豪華なコラボ。ベイビーレイズJAPANにぴったりのわくわく/ドキドキ感ある胸キュンアイドルソングに仕上がっており清涼感MAXで良い。
⑨は今生きる日常を全力で走り抜ける熱い青春ロック。サビの大きなうねりを感じる煌びやかなメロディーと力強い歌声が胸に刺さる。これも堀江晶太の楽曲である。
⑪が前述の堀江晶太が提供したアイドルロック・アンセム。熱いメッセージがほとばしる王道ど真ん中の旋律は清々しい感動を呼ぶものでグッド。
ラスト⑫はアニソンからアイドル楽曲まで幅広く手掛ける園田健太郎が提供したナンバー。でんぱ組.incを彷彿とさせる和風のお祭りアイドルソングで楽しい。まさに大団円という感じでアルバムの最後を飾る。
ディスク2が初回限定盤Bのみに付属されているライブCD。
現場の熱気が伝わる良い録音で、選曲も代表曲を網羅しておりナイス。
メンバーの歌声や演奏も良い出来で、ファンのコールも聴こえるので、当時ベイビーレイズJAPANがいかに波に乗っていたかがよく分かる。今となっては観ることはできないが、こういったライブ盤で当時の空気感を楽しむことはできるので、貴重な音源と言えるだろう。
ベイビーレイズJAPANの魅力を最大限に引き出す曲の数々は完成度が高いもので、今聴いても熱くなれる。PASSPO☆、BiS、でんぱ組.incなどのアイドルロックが好きであれば是非聴いておきたいアルバムだ。
STAY EVIL!!|DARKSIDE MIRRORS

2007/1/24 ACMA POP RECORD
1. Elevator
2. Spell Bound
3. Zombie
4. 鏡地獄
5. Kiss Kiss Kiss
6. White Rabbit
7. She Lied
8. Channel Noize
9. Gangsta
10. Telephone
11. Dirty
12. Dog
「DARKSIDE MIRRORS」は2001年に結成されたロックバンド。本作は自主レーベルからリリースした1stアルバムである。
このバンドの中心人物であるボーカルのLUCY MIRRORとドラムのJUNK THE RIPPERは、シーナ&ロケッツの鮎川誠とシーナの娘姉妹ということでよく知られている。
音楽的には「The Damned」「The Misfits」「The Cramps」などの初期パンクのB級ホラー的な世界観を、ガレージパンクやニューウェーブを基調とした荒々しくダークな雰囲気のサウンドで表現したゴシック・ロックである。
プリミティブな音質や一音一音の緊張感のある響きなど、インディーズロックの中でもあまり似たバンドが思い浮かばないほどの唯一無二の魅力がある内容で、ガレージロックからポストパンク好きにもオススメできる1枚だ。
冒頭①からDARKSIDE MIRRORS独自のロウなサウンドのホラーパンクが炸裂する。ほとんどインスト曲であるが、アグレッシブに展開する尖った演奏は生々しい魅力がありカッコいい。最後のビビらせる締め方も秀逸だ。
続く②は勢いそのままのガレージサウンドに妖しい雰囲気のボーカルがのり、危険なアンダーグラウンド感覚の女子ロックに痺れる。
③はタイトルからしてゾンビというホラー映画ファンはビビッとくるナンバー。ゾンビが迫り来るような緊迫感あるバンドグルーヴを聴けば、ジョージ・A・ロメロやルチオ・フルチなどが手掛けたゾンビ映画の名作が脳裏に蘇ること必至だ。
④は激烈なサウンドだが、リズムや歌メロがキャッチーなので親しみやすい。とは言え個性的な方向性である。
⑤はジョン・レノン&オノ・ヨーコが1980年に発表した曲のカバー。色っぽい原曲とはまた一味違うラフな質感が良い。
⑥はアメリカのロックバンドJefferson Airplaneが1967年に発表したドラッギーな名曲のカバー。不思議の国のアリスをテーマにしたサイケデリックな曲調はこのバンドのカラーにぴったりで、原曲に忠実な呪術的な歌い回しが光る。
⑧は8分に及ぶ大曲で、プログレッシブ/サイケデリックに展開されるヤバい空気感にヤラれる名曲。特に叙情性が刺さるギターの音色が良い。
⑨は存在感ありまくりのボーカルなど、イカしたフィーメイルロックを体現するカッコ良さが光る。特に終盤の加速していくパートが良い。⑩は違う世界に連れて行かれそうな艶めかしい歌声やメリハリのある演奏がグッド。
ラスト⑪はThe Stoogesが1969年に発表した有名曲のカバー。原曲よりも前のめりな演奏で飛ばすアグレッシブ作風となっており、聴いているとアドレナリンが噴き出る。
とにかくロウなガレージサウンドが凄まじくカッコいい。ニッチな音楽好きならギターの音色を聴いただけで、『おおお!』となってしまうことであろう。またLUCY MIRRORのボーカルもダークな雰囲気にぴったりの声質&歌い回しで魅力がある。
Atlantico Blue|佐咲紗花

2015/11/11 ランティス
1. Atlantico Blue
2. マリンブルーに沿って
3. DREAMLESS DIVER
4. NEO-DIMENSION
5. SAYONARA Last Melancholic Night
6. Moonnight Destiny
7. Tripple☆Tripper
8. Distance
9. Ceremony
10. EverCruise
11. Junction heart
12. サディ
13. CHIASTOLITE
14. キスのひとつで
「佐咲紗花」は2010年にデビューしたアニソン/ゲーソン・シンガー。本作は3枚目となるアルバムだ。10代の頃からavex dream 2000やASAYANなどのオーディションで最終選考まで残り、デビュー前からその歌声は評価されていた実力派シンガーである。
特に美少女ゲームの主題歌で多くの人気曲を発表しており、KOTOKOや橋本みゆきに並ぶ人気を獲得している。ボーカルスタイルは作品によって変幻自在だが、特にキュートな声質を生かした、青空を突き抜けるようなハイトーンボイスが大きな魅力のひとつとなっている。
また自身の作詞曲も多くあり、このアルバムでは①③④⑤⑦⑩⑫⑬がそれにあたる。
本作には様々な作家が楽曲提供を行ったゲーム/アニメ主題歌やアルバムオリジナル曲が収録されており、特に注目は美少女ゲームの音楽においては松本文紀と双璧の人気を誇る堀江晶太(kemu、PENGUIN RESEARCH)が手掛けた楽曲である。アルバムタイトル曲も手掛けており、佐咲紗花×堀江晶太という音楽的に相性が良いコンビが放つカラフルで力強い必殺のビートポップはどれも一発で耳に残るもので必聴と言えるだろう。
①②⑭が堀江晶太提供楽曲。①は佐咲紗花が作詞を行っている。
本作のリードトラックであるアルバムタイトル曲①は、佐咲紗花の歌声の魅力が120%発揮された、キラキラした躍動感と清涼感に満ちた素晴らしい名曲。大きなうねりを生み出す煌びやかなメロディー、キュートかつ力強い歌声、自然と体が揺れる小気味よいビートと三拍子揃った元気が貰えるパーフェクトなポップソングだ。堀江晶太はこの曲でグッドミュージックとは?という問いに対してひとつの答えを提示している。
②はPCゲーム『ちいさな彼女の小夜曲』のOP曲で人気が高い。ストリングス中心のサウンドでエモーショナルに疾走する堀江晶太の鮮やかなポップマジックが炸裂する。この曲では爽やかなメロディーを歌う佐咲紗花の可愛い声が際立っており、カラフルなキュートポップスとして良い出来である。
⑭は『ちいさな彼女の小夜曲』に使用されたED曲。これも絶大な支持を得ている人気曲である。ピアノ伴奏に合わせた可愛らしい歌い出し(これがセンチメンタルで良い)から、ギアを加速させて、力強いメロディーをダイナミックに歌い上げる無敵感溢れるサビで盛り上がりは最高潮に。しっとりとしたパートとパワーポップ度数が高い躍動感のあるパートとの対比が曲全体をメリハリのあるものにしており秀逸だ。
③はラブライブ!の楽曲でお馴染みの河田貴央が作曲・編曲を行っている。王道的な熱いアニソンで、フックのあるメロディーがグッド。歌唱もワイルドに決めるアニソン姉さんという感じで、こういった楽曲によって様々な表情を見せるテクニカルなボーカル技術と元々の声質の良さが佐咲紗花の強みである。
⑤は作曲・編曲をShinnosuke(元SOUL’d OUT)が手掛けたオシャレセンスが効いたエレクトロポップ。サビのメロディーや歌い回しがとにかく良い。こういった曲調にもばっちりとハマる佐咲紗花のキュートフィーリングが優れている。
⑦はAstroNoteSと佐咲紗花が共作した1990年代J-POP色が強いナンバー。サウンドやメロディーは小室ファミリーにいてもおかしくない感じだ。
⑧はサウンドの緻密な構成と歌声の切なさと柔らかいが印象に残る良いバラードだ。
⑨も劇的な感動を呼ぶシンフォニックなバラードで耳当たりがいい。
⑩は岩田アッチュ(NIRGILIS)が作曲を手掛けたナンバーで、こちらも1990年代J-POP好きのハートを射抜く旋律がグッドだ。
⑬は作曲・編曲が橘尭葉と妖精帝國本体というゴシックメタル色が強いナンバー。意外にもこのタイプの曲もハマるところがあり。
佐咲紗花の声質と歌唱力を生かしたバラエティに富んだ曲がふんだんに収録されており、ポップミュージックとして非常に完成度が高い。①⑤⑦などのアニメ/ゲームのタイアップ曲以外のアルバム曲が存在感を示しているのも素晴らしい。
Pale Face + 2|Still

1991/2/25 Wax Records
1. Sa・Ma・Yo・I
2. Real Time
3. Sweet Warm Rain
4. 時の砂
5. Just A Song
6. 鏡の女
「Still」は1980年代のインディーズシーンで活躍したゴシック・ロックバンド。
本作は1985年に発表された12インチ ミニアルバム『Pale Face』に7インチシングル『Real Time』をカップリングしてCD化したものである。残念ながらコンプリート音源集というわけではなく、7インチシングル『Orgel』やコンピレーションアルバム参加曲は収録されていない。
プロデュースを手掛けるのはFRICTIONの恒松正敏。まさにアンニュイという言葉がぴったりの雰囲気をもつボーカリスト 山東トシエ。彼女の儚さと刹那的な衝動を併せ持つ歌声を主役にした幻想的なゴシック・ロックは、独創的な世界観を生み出しており、今なおその輝きは色褪せてはいない。
①②がシングル『Real Time』収録曲。
かなりアンダーグラウンド色が強い作風で、まさにコアな音楽好きに向けたという感じである。暗黒が渦巻く①と光が降り注ぐ②の作風の違いも面白い。
①は退廃的な空気感全開のニューウェーブ・ロック。ヒリヒリとした緊張感が堪らなく良い。Cocteau Twinsに通じるものがあるが、幻想的な世界観を盛り上げるキーボードの音色やドラマチックな演奏など、プログレエッセンスも感じられてグッド。透明感のあるサウンドの中で、呪詛を吐き出すような山東トシエの歌声がただならぬ存在感を示す。
②は神秘的な雰囲気をもつメロウな歌モノ。祈りを捧げる巫女のような歌声やダイナミックなギターの音色が良い。
③④⑤⑥がミニアルバム『Pale Face』収録曲。
『Real Time』に比べると格段にポップ感が増しており、情景が浮かぶ旋律がグッド。
③は印象的なイントロのベースを始まりとして展開されるギターやキーボートの幻想的な音色で、一気に淡く儚い世界観に引き込まれる。切ない歌声も含めて叙情性が非常に優れており、フォーク/トラッドのエッセンスも感じられる名曲である。間奏のアグレッシブなギターも熱い。
④は苦悩に耐えるような渋いバンドグルーヴと心に潜む暗黒や葛藤を耽美に彩った歌に味わい深い魅力がある。
⑤は歌謡曲っぽいメロディーを気怠く歌う山東トシエの色気が良い。懐かしさを感じる曲調はいかにも1980年代という感じで、本作の中でもノスタルジーを運ぶ親しみやすいナンバーである。
⑥はスローテンポで淡々と進むファンタジックな透明感ある旋律が耳に心地良く響く。プログレ度数が高いサウンドが儚い雰囲気を盛り上げ、アンビエントな歌モノとして秀逸だ。
当時は人脈的にある程度の知名度もあったと思われるが、今となってはかなりマイナーなStillが残した伝説の音源である。かなりマニア向けではあるが、アナログレコード収集家に人気が高く、内容も女性ボーカルのゴシック・ロックとしては、G-Schmittと比べても互角に渡り合える存在感をもっている。山東トシエという謎に包まれた歌姫の軌跡が追える貴重な1枚である。
Double Frenzy|Beardsley

1989 CAPTAIN RECORDS
1. Double Frenzy
2. Re-Birth
3. Season Of The Witch
4. Sleep Walker
5. The Thing Love Me
6. Brave New Dream
7. Crank Up
8. Silence Zone
9. Into The Storm
10. Fade To White
【ギャルズ・パンクの女王】と称されたパンクバンド「Beardsley」(ビアズリー)。
本作は宝島社のキャプテンレコードから1987年にリリースした1stアルバムをCD化したものである。
ギャルズ・パンクとはこのCDの帯に書いてあるキャッチコピーであるが、1980年代から2020年代まで脈々と続く音楽コンセプトの一種としても総括できそうなギャルズ・パンクもしくはギャル・パンクというスタイルの先駆けとも言えるバンドだ。
音楽的には「The Damned」や「Buzzcocks」に影響を受けたスピード感あるメロディックなパンクサウンドに紅一点CHIAKIのパンキッシュなボーカルがのるというもの。当時のメディアなどでは「THE WILLARD」の女性ボーカル版であるとも言われた。実際のところメTHE WILLARDほどのメジャー感のあるポップさはなく、キュートに弾けながらもインディーズバンドらしいハードコア度数が高い作風がBeardsleyの持ち味だと言える。
アルバムタイトル曲①から疾走感溢れる軽快なパンクサウンドと熱いメッセージを歌い上げるCHIAKIのボーカルがカッコいい。可愛い声質おかげで曲がカラフルに聴こえるのは、女性ボーカルの利点が効いていると言える。
続く②も勢いはそのままに荒々しい演奏と思い切りの良い歌声でアグレッシブに決める。
③はサウンド&メロディーの叙情性がグッド。やさぐれた感じと切なさを同時に内包できるのはパンクバンドならではの強みである。
④はこのアルバムの中でも特に通好みな感じがするロウパンクな作風が楽しめる。
⑤はメロディックなビートが冴えわたるキュートパンクで気分爽快。
⑦はメロウなギターとCHIAKIの掛け声を合図に始まる熱量全開のアグレッシブなキラーチューン。切れ味のある演奏、カリスマ性を発揮するボーカルなどの存在感を示す旋律は、まさに【ギャルズ・パンクの女王】と呼ぶに相応しい。⑧は印象的なイントロベースからフルスロットルで展開される1970年代パンク色の強い熱い1曲。
ラスト⑩は、イントロのギターリフから始まる何かとんでもないことが起こりそうな雰囲気にぞくぞくさせられる。アルバムの中でも③と共にメロディーの哀愁が光るナンバーだ。
スピード感のある熱いパンクが次々と繰り出される爽快感のある内容である。
今ではあまり語られることがないバンドであるが、2000年代にはBeardsleyにJUDY AND MARYを足したような女性ボーカルバンドがたくさんいたので、再評価が望まれるところである。
RISA SATOSAKI HISTORY BEST 2014 – 2017|里咲りさ

2018/1/19 フローエンタテイメント
1. オープニング
2. Game×3 恋のテレポート
3. だってね。
4. カタルカストロ
5. ボーンブレイクガール
6. シャイガール戦争
7. True
8. Little Bee
9. 窓辺に小鳥はいない
10. かわいいもの Feat. Wm (あ、ピンチ。)
11. 410
12. サイン
13. Hot!夏!さま〜
14. オリーブ
15. 信号
16. ディアティア
「里咲りさ」は幅広く活動を行うアイドル/シンガーソングライター。本作はオフィシャル通販サイトとライブ会場でのみ販売されたベスト盤CDである。
2012年にアイドルユニット「店ガール9:50」のメンバーとしてデビューし、その後シンガーソングライターとして本格的に活動を開始した。またソロ活動と並行してアイドルグループ「少女閣下のインターナショナル」のメンバーとしても活躍したことでよく知られている。
自身でレーベル・フローエンタテイメントを立ち上げるなど、精力的な活動を行っており愛称は【社長】。
ソロではアイドルならではのキュートなフィーリングとシンガーソングライターとしてのアーティスト性を融合させた独自のクセが光るポップソングを生み出しており、特徴的なロリボイスを生かした曲の数々は中毒性が高い。
大半のアレンジを手掛けている灘藍の巧みなサウンドセンスにも注目である。
アンビエント風味の導入曲①に続く②は、アイドルらしいキュートに弾ける軽快なポップナンバー。エレクトロ風味のアレンジと唸りを上げるアグレッシブなギターが良い。
③もアイドル度数が高い曲で、アイドルポップ好きのど真ん中を突く良い出来だ。
④は相対性理論を彷彿とさせる可愛らしい曲調ながらも『好きな男に毒づくサブカル女子』みたいな世界観の歌詞が鋭いキラーチューン。メロディーはキャッチ―で、ウィスパーボイスで歌われているので聴き心地は良いが、恋愛における不満をストレートにぶちまけたリリックの響きが一風変わっており秀逸だ。灘藍が手掛けるサウンドも奥深い魅力がある。
⑤はふわふわとした歌声とラフなロックサウンドの組み合わせが不思議な魅力を生み出す。途中で情緒たっぷりに力強く歌い上げるパートがグッド。⑥は不安定なボーカルの響きが電波ソングみたいに聴こえて面白い。曲自体はパンキッシュに弾けるメロディックなロックなので爽快感抜群だ。
⑧は導入のエモーショナルなギターから始まる可愛らしい歌声が胸キュンもの。灘藍によるセンチメタリズムを刺激するサウンドも完成度が高い。これは感傷的な旋律とロリボイスが絶妙に調和している良いギターポップである。
⑨はピアノの伴奏に合わせた、呟くような生々しい歌が、いかにも本格派シンガーソングライター的な雰囲気を醸し出す。
⑩は里咲りさを含めた4人組音楽ユニット「あ、ピンチ。」のナンバー。オシャレなセンスが効いているエレクトロポップで、チャーミングな魅力に溢れている。⑪は軽快なロックビートと素直な歌声に胸躍る。この曲では自身初の編曲に挑戦している。
⑫はYUIなどの有名な女性アーティストのアレンジを手掛けている鈴木Daichi秀行がサウンドを手掛けている。里咲りさの天真爛漫な魅力を引き出すアレンジが良い。
⑬は爽やかに弾ける元気なサマーチューン。こちらも鈴⽊niDaichi秀行によるダイナミックな高揚感が得られるアレンジがナイス。
⑮はもろに相対性理論に影響を受けたと思われる曲だが、このタイプの作風が好きなら気に入るだろう。⑯は静から動へとドラマチックな盛り上がりを聴かせるエモロック。歌声含め切なさ全開の雰囲気にヤラれる。
里咲りさのアイドル/シンガーソングライターとしてのポテンシャルが存分に発揮された内容で、歌もサウンドアレンジも良い。ユニークな楽しい曲も多くあるので、ロリボイス愛好家(いるはずだ?)にはぜひ聴いてもらいたいところだ。
LETHE|101A

2008/1/16 FILM.4
1. 雪の世界
2. migration
3. heat
4. LETHE
5. Eugene
6. Miranda lethal weapon
7. 詩片
8. serpent
9. shellfish
10. lull
ダークなオルタナティブ・ロックを聴かせてくれるバンド「101A」の3枚目となるアルバム。
ポストロックやシューゲイザーというジャンルで語られることが多いが、他にもグランジやインダストリアルなどの幅広い音楽要素を含んでおり、トータルで独自の美意識を感じるゴシック・ロックを確立している。
切れ味が鋭い演奏と表情豊かなnoahのボーカルが生み出す透明感や呪術的な雰囲気、そして幽玄な浮遊感は堕天使のようでもあり、4AD系のバンドが好きな人にもオススメできるものだ。
暗黒系のギターロックとして強度をもつ一方で、アンビエントな空気感が中毒性を生み出しており、一度この幻想的な世界観に飲まれると抜け出せないほどの吸引力がある優れた内容の1枚だ。
冒頭①は闇を切り裂くヘヴィなギターリフからnoahの美しく幽玄な歌声が響き渡る。タイトル通り冬にぴったりの曲だ。緊迫感のあるバンドグルーヴが凄まじくカッコ良く、幻想の歌姫と呼んでしまいたくなる耽美な雰囲気も相まって一気に101Aの世界観に引き込まれるキラーチューンである。続く②は印象的なベースと透明感のある歌声が絡み合う前半パートから嵐のようなドラミングが炸裂する後半パートまで、まさに静から動へとドラマチックな盛り上がりを聴かせる1曲である。全体的にベースラインが耳を捉える音色で良い。
③はSwansを彷彿とさせる重量感のあるドラムの音色など、インダストリアル色が強いナンバーで、とにかく迫力満点である。
アルバムタイトル曲④は、アンビエント風味のサウンド+ポエトリーリーディングという作風でマニアックなツボを突く。
⑤はアグレッシブな轟音ギターロック・サウンドでぐいぐいと重戦車が迫りくるような1曲。
⑥は激烈なサウンドにのるnoahの呪詛を吐き出すようなボーカルに痺れる。暴力的な暗黒の旋律はかなり個性的でグッド。曲調に応じて変わる変幻自在な歌声は女性ボーカルバンドの紅一点として優れていると言えるだろう。
⑨は轟音ポストロックど真ん中をいく曲調にnoahの儚い歌声が同居して、暴力的な音塊の中を舞う妖精を見たという感じの不思議な感覚をもたらす。⑩は陰鬱なミドルテンポの曲で美しい歌声をじっくりと楽しめるが良い。終盤の展開はかなりぞくぞくとさせられる。
⑪にはCDのみのボーナストラック(シークレットトラック)も収録されており、貴重なライブ音源が楽しめるようになっている。
どの曲も個性が際立っており、1曲1曲が工夫されていると感じる意欲的な内容である。
インディーズロックの中でもニッチな音楽趣向を満たすという意味ではかなり貴重なバンドで、1980年代であればトランスレコードにいそうなタイプのバンドである。
暗黒系女性ボーカルのオルタナティブ・ロックとして文句なしにオススメできるアルバムだ。
Bloom 光の世界|シノワ

2001/11/25
Gyuune Cassette/Childish Soup
1. Still The Same
2. Silent Dawn
3. たしからしいということ
4. 手のひらの世界
5. 赤い花
6. Stream
7. トロン
8. In The Bathroom
9. Bloom
「シノワ」(shinowa)は1996年に大阪で結成されたロックバンド。本作は1stフルアルバムである。当時、ミュージックマガジン誌のインディーズ年間ベスト10にも選ばれたことでもよく知られている傑作アルバムだ。
音楽性はサイケデリック・ロックやネオアコを基調とした、ふわふわと浮遊感のあるサウンドに、ボーカル・かおりの可愛らしいウィスパーボイスの歌が同居するというもの。
平田ハジメのトリップ感覚を持つファズギターの音色が大きな魅力となっており、キュートな女性ボーカルのインディーポップかと思わせて、実は1960年代ロック色が強いサイケデリックな世界観の深淵に引き込むという意欲的な内容となっている。
冒頭①からプリミティブな魅力を放つガレージロック・サウンドにキュートなボーカルというインディーポップのど真ん中を突く作風で、一気に聴く物の心を鷲掴みにする。インディーズバンド好きであれば、再生した瞬間に『おお!』と妙に納得してしまう刺激的な音が鳴っているキラーチューンである。
続く②はうねるギターの音色と飾らない淡々とした歌声が何とも言えず不思議な感覚を伝えてくれる。③はNav Katzeを彷彿とさせるファンタジックなガレージポップ。透明感のある歌声や縦横無尽なドラミングなどが良い。
④は気怠い空気感の演奏と素直な歌声が上手くマッチしており、休日の昼下がりなど、のんびりとしたいときにぴったり1曲。
⑤は口ずさめそうな歌モノで、可愛らしいがどこか怖いというのがみんなのうた的である。
⑥は深く沈み込むようなドリーミーな雰囲気の曲で、効果的な要素となっているポストロックやシューゲイザーのエッセンスがグッド。
⑦は物語のようなドラマチックな盛り上がりが良い。幻想音楽好きにも受けそうな雰囲気であるが、インディーズバンドらしい尖った『毒』が含まれており、それがシノワ特有の大きな魅力となっている。
ラスト⑨はゆらゆらと揺らめくサウンドと可愛らしい歌声が、少女漫画っぽいというか乙女チックな感じ世界観を見事に作り出している。
生々しい演奏や自然体の歌声がオリジナリティのある世界観を構築しており素晴らしい。
箱庭的な雰囲気が大きな魅力のひとつとなっているのがポイントだが、マニアックなインディーズバンドによくある閉鎖的な空気はなく、外側へと発する良質なポップネスが感じられるので、多く人にオススメできる1枚だ。
創業|ぷにぷに電機

2022/6/29
Tsubame Production/PARK
1. 君はQueen
2. 透明人間・オン・ザ・ビーチ
3. Night Session
4. ラスト・サマー
5. NeonOcean
6. Deeper
7. a drop
8. 残照
9. empties
10. ずるくない?
「ぷにぷに電機」はインターネットを中心に活動するシンガーソングライター/音楽プロデューサー。本作は1stアルバムである。
アーティスト名は弐瓶勉の漫画『シドニアの騎士』に登場する架空の企業・東亜重工に由来するとのこと。そのエピソードからしていかにもサブカル女子という感じがするが、音楽性はジャズ、ボサノバ、エレクトロなどを取り込んだ割と正統派のシティポップ路線である。ヴェイパーウェイヴにも距離が近い音楽性と言えるだろう。
彼女はボーカルも含めて、大人っぽいオシャレでイケてる空気を醸し出すポップソングを作るのが非常に上手い。どの曲も歌い出しを聴いただけで、都会的な雰囲気に引きまれる優れた魅力があるので、すんなりとぷにぷに電機の世界観を楽しむことができるだろう。本作では楽曲ごとに様々なミュージシャンがサウンドのプロデュースを手掛けており、自身の世界観をサウンド面でも広げていこうとする意欲的な内容となっている。
冒頭①はMikeneko Homelessがサウンド・プロデュースを手掛けている。ピアノ伴奏での歌い出しから耳を強く捉える洒落たアーバンポップで、聴き手にイケてる音楽だと感じさせる、ぷにぷに電機の洗練された音楽センスが存分に発揮されたキラーチューンである。聴き心地の良さに全振りしたスタイルは完成度が高いもので、2020年代のシティポップを代表する曲のひとつと言ってもいいだろう。夜に車で1人聴いてハイテンションで飛ばしてもいいし、恋人とのムードを盛り上げる必殺ミュージックとしても使えそうなので色々な楽しみ方ができそうだ。続く②も勢いそのままのイケイケ女子ポップス。サウンドのプロデュースはPARKGOLFで、キレキレのエレクトロサウンドがダイナミックな魅力を放つ。音楽好きに受けそうなベタな歌詞の世界観も良い。
④は夏にぴったりな感じがする恋人同士のロマンティックな曲で、イメージ的にはかなりカッコいい男女が思い浮かぶ。こちらもサウンドを手掛けるのはMikeneko Homelessである。
⑥は英詩で歌われる透明感のあるエレクトロポップ。いわゆる洋楽っぽいJ-POPを体現しており、日本人離れした魅力がある。トラックメーカーのYohji Igarashiがサウンドをプロデュースしている。⑦はしっとりとしたR&B路線の曲で、色気のある歌声など、雰囲気は抜群だ。
⑧はエレクトロユニット80KIDZがサウンドを手掛けるジャジーな雰囲気が漂うバラード。ピアノやギターなどの各楽器が絶妙な音色を奏でており、情緒たっぷりのボーカルを含めてエモーショナルなグルーヴ感が良い。
⑨はギタリスト/音楽プロデューサーのShin Sakiuraがサウンドを手掛けている。ファンキーなビートがダイレクトに高揚感を与えてくれる。ラスト⑩はキーボーディストのKan Sanoがサウンドをプロデュースしている。アルバムの締めくくりに相応しい出来の良いクールポップスである。
サウンドは色々なミュージシャンとコラボして作り上げているが、常に自身の楽曲のカラーは貫かれており、ぷにぷに電機の音楽表現へのこだわりが感じられる。どの曲も似ているとも言えるが、シティポップをテーマに金太郎飴のような魅力があるので、この方向性が好きなら堪らない1枚となっている。
Under the Sun|Marica

2024/11/7 Funczion SOUNDS
1. CROSSING
2. せかいにさよなら
3. リメンバー・スカイ
4. 星屑シンフォニー
5. rebirthday eve
6. とっぴんぱらりのぷう
7. 蒼天の彼方
8. 彼方への道
9. 雨芳恋歌
10. この夜に降る星は
11. Hanging garden
12. ひまわり
13. Smile Again
14. Fairy Tale Ending
15. 灵魂之在処
16. Kha ille Sa ilia
美少女ゲームの音楽を多く手掛けるサウンドチームFunczion SOUNDSのボーカリスト「Marica」のベスト盤CD。本作はこれまでに発表されたゲーム主題歌を収録した待望のワークスベストである。基本的に美少女キャラクターを主役に世界観が構築されるゲームの音楽は、当然のことながら歌入り曲も女性ボーカルが中心であり、優れたポップセンスを持つ良質な曲も多くある。難点として、アーティストのフィジカル作品としてリリースされない曲が多数あるということ。そういう点を含めて、本作の注目は何と言っても、Maricaの代表曲であり、ファンやマニアから絶大な支持を集める『CROSSING』(CROSS†CHANNELのED曲)と『せかいにさよなら』(ユメミルクスリOP曲)が収録されていることである。この2曲の音源が手に入るだけでも有意義なベスト盤と言えるだろう。音楽作品としてもゲーム作品の世界観に合わせた様々な表情を見せるMaricaの歌声をたっぷりと楽しむことができるお得な1枚である。
冒頭①が前述のCROSS†CHANNELの主題歌。ゲームソフトが最初にPCで発売されたのが2003年だが、当初は中々CD音源などで聴くことができず、ゲームから抜き出して聴いていた猛者もいた(後のPSPやXbox360の移植版では同梱のサウンドトラックに収録された)。ではいったいこの曲が、なぜそれほどの支持を受けるのか。それを考察していこう。
この曲のサウンドや歌メロは、王道的な陰りのあるJ-POP/歌謡ロックバラードである。つまり曲調自体はオーソドックスなものだ。この曲を個性的なものにしているのは、ゲームの原作者である田中ロミオが手掛ける意味深な歌詞と、それを歌うのに絶妙にマッチしているMaricaの歌声である。ゲーム内容とリンクさせた哲学的な歌を、虚空を見つめながら独白するかのように歌うボーカルが生み出す詩的な響きはあまりにも重い。ゲーム内容を把握しているとより感傷に浸れるのも事実だが、これは日本語のリリックの強さに重きを置いた名曲と言っていいだろう。
続く②がユメミルクスリの主題歌。ゲームは2005年の作品で、こちらはゲームの初回限定版に付属したサウンドトラックCDや公式ダウンロードなどで音源を入手することが可能であった。ゲームの世界観と見事にリンクさせたMYU(音楽ユニットkukuiでよく知られる)が書いた文学的な歌詞の響きが印象的で、センチメタルなメロディーもフックがあり秀逸。切なくも躍動感のある旋律は聴き手の心を強く捉えるものだ。
他にもノスタルジーに気持ちよく浸れる③、チープなサウンドにシティポップ的なフィーリングがグッドな④、ワールドミュージック色が強い壮大な雰囲気の⑦⑧、メロディーが美しい⑩、クセのある歌い回しが中毒性を生む⑪、王道的なエロゲ/ギャルゲ・ソング⑭、昭和歌謡っぽい歌メロが良い⑮など、音楽的にはバラエティに富んでおり、聴いていて楽しさがある興味深い内容となっている。
乳の実+|CORNETS

2017/11/29
METROTRON RECORDS
1. 朝
2. 長い塀
3. 鍵
4. 恋人の犬を連れて
5. 何か心配ごとあるの
6. ベッドまでもうすぐ
7. 雨
8. 陽だまりの中の猫のように
9. のびる影
10. 誰か虹を見た
11. 電報配達人
12. 火山の下で
13. 鳩
14. 倉庫
15. フランネリア・フランネル
16. 終わらない物語
17. 4時35分
「CORNETS」(コルネッツ)は1986年に結成された4人組のガールズバンド。
本作は1992年に発表された1stアルバム『乳の実』に未発表曲や25年振りとなる新曲をプラスした編集盤である。
ムーンライダーズの鈴木博文が主催するインディーズレーベルであるメトロトロン・レコードから作品をリリースしており、レーベルメイトのカーネーションやグランドファーザーズのメンバーもサポートで参加している。
音楽的にはネオアコを主軸として、サックス、トランペット、マンドリンなどの様々な楽器を効果的に使用した映画的とも言える雰囲気のサウンドに、ボーカルを務める小熊純子の綺麗な歌声が同居するというもの。牧歌的かつ幻想的でもある癒しの空気感をもつ作風はこのタイプの女性ボーカル好きには堪らない魅力がある。
ZABADAK、NAV KATZE、遊佐未森、鈴木祥子、坂本真綾などを好む人にオススメできる内容となっている。
①~⑫がアルバム『乳の実』
①は導入のピアノが奏でる優しいメロディーラインからノスタルジー全開で、聴き手に語りかけるように歌われる美しい歌声に耳が惹きつけられる。続く②はファンタジックなシンセサウンドが不思議な浮遊感を生み出す。ここではないどこかへと連れていってくれるふわふわとした雰囲気が良い。③は心地良く流れるように響くサウンドに夢の世界に誘われる。
⑤はかなりプログレっぽい雰囲気をもつサウンド構成や儚い歌声が切ない余韻を残す。
⑥は少女漫画のようなロマンのある恋愛ソングという感じのナンバー。恋人と綴る愛の世界観をドラマチックに盛り上げるサウンド展開がグッド。男女関係における戸惑う気持ちが上手く表現されており、ざわざわとさせられるのもナイス。
⑧はアコーディオンの音色から始まる陽気なインストナンバー。コルネッツはインディーズバンドであるが、この曲を聴いても分かるように劇伴向きの音楽センスをもっている。
⑨はシンプルなアコースティックサウンドに美しい歌声&コーラスというワールドミュージックや幻想音楽度数の高い1曲。ひたすら上品なボーカルワークの魅力にたっぷりと浸ることができる。⑩はドタバタしたアグレッシブな演奏と独自の美意識に彩られた歌声の組み合わせが面白い。サビのメロディーの反復歌唱も良い。
⑪はムーンライダーズの鈴木慶一がボーカルでゲスト参加している。クラシカルで壮大なサウンドと天使のような歌声がもたらす絶品の美しさが圧巻である。
⑬と⑭は本作リリース時(2017)に25年振りとなる新曲。
美しい歌声や凝ったサウンドなどのコルネッツらしさは健在という印象で、長い歳月は関係なく楽しめる傑作となっている。
⑮と⑯は当時の未発表曲。
既存曲と同じく透明感のあるサウンド&歌声が楽しめる貴重な音源である。
⑰は1988年にリリースされた1stEP『CORNETS』に収録されている曲。
歌い出しを聴いた瞬間にハッとしてしまう瑞々しい魅力がある名曲。
遊佐未森やNAV KATZEと同時代性を感じる幻想的な叙情性が胸を打つ1曲である。
様々な楽器を駆使したサウンドは完成度が高く、とてもインディーズバンドとは思えない内容である。ネオアコから幻想音楽好きまで満足できること間違いなしの1枚だ。
Weather|B.O.L.T

2022/8/10 キングレコード
1. One Life
2. BY MY SIDE
3. New Day Rising
4. D.T.F.
5. 夜を抜け出して
6. 雨のち晴れ
「B.O.L.T」は2019年から2023年まで活動していたアイドルグループ。本作は2022年にリリースされたEP作品である。
ももいろクローバーZでお馴染みのスターダストプロモーションに所属するアイドルであり、前身の「ロッカジャポニカ」の後継グループとして活動していた。音楽性としては疾走感溢れるメロディックパンクを基調としたポップなロックで、楽曲もその界隈のアーティストが提供を行ったものが多い。
アイドルは年長者のファンが非常に多くいるジャンルなので、1990年代から2000年代にかけて起こったメロコアムーブメント体験者をメインターゲットにしていたとも言えるだろう。
冒頭①はPOTの織田が提供した爽快感あるメロディックハードコア。スピード感のあるパンクサウンドとアイドルボイスの組み合わせは、理屈抜きに気分を高揚させるもので、胸がキュンとする。
続く②はHold Out Hopeが手掛けた、力強いメロディーとカラフルな歌声が際立つキラーチューン。躍動感を感じるパンキッシュな旋律にメタリックな重厚感が同居しているのがHold Out Hopeらしさ全開で、聴いていて気持ちが良い。
③は どついたるねんが提供した曲で、疾走するエモーショナルなサウンドが心に沁みる。特にサビの力強い歌メロは印象的で、言葉を噛みしめるように歌うボーカルも良い。
④はメロディアスなギターを全面にだし、アグレッシブな演奏で前のめりに爆走する。提供したKNOCK OUT MONKEYの個性とキュートなアイドルフィーリングが上手く溶け合っている痛快なナンバーだ。
⑤はBACK LIFTが得意とする熱いメッセージが迸る熱いパンクチューン。バンド作品では男の渋いカッコ良さが光る作品を多く発表しているが、可愛らしい女子ボーカルだとかなり印象が違い面白い。ラスト⑥は開花俊介が提供した、ノスタルジックなサウンド&メロディーにじっくりと浸れる1曲。歌声も情景が浮かぶ叙情性がグッド。
アイドル+メロディックパンクというコンセプトとして出来の良い曲が収録されている傑作である。それぞれのパンクバンドが持ち味を発揮した楽曲を提供しているのがナイスで、それに上手くB.O.L.Tのメンバーが呼応していると感じる。
VEGA EP|Hold Out Hope

2016/11/26
1. ”OPENING CEREMONY”
2. Vega
3. too many sleepless night
4. Calling
5. twilight syndrome
「Hold Out Hope」は2015年に結成された秋田発のEasycore/Poppunkバンド。
本作は1st EP作品である。Easycoreとはポップパンクから派生した音楽ジャンルのことで、通常のメロディックなパンクとは違う点として、メタリックなギターリフやデスボイスを用いた作風が特徴的である。
そしてそんな日本のEasycore勢の中で女性ボーカルスタイルの良質な曲を聴かせてくれるのがこのHold Out Hopeだ。
ボーカルを務めるHarukaのキュートボイスで歌われるセンチメンタルなメロディーや情景が浮かぶ感傷的なサウンドには定評があり、バンド作品以外にもB.O.L.Tや ももいろクローバーZなどのアイドルグループにも楽曲提供を行っている。本作はEPなので曲数こそ少ないものの、このバンドのポップセンスの良さが随所に感じられる力作となっており必聴である。
降り注ぐ雨音と電子音からメタリックな轟音が鳴り響く導入のインスト曲①に続く②から、彼らの大きな魅力である力強くノスタルジックな旋律がこれでもかと展開される。これぞ青春という感じの大きなうねりを生み出すサウンドの叙情性は素晴らしいものがあり、さりげなく胸に引っ掛かりを残すメロディーを含めてとにかく出来が良い。
このバンドの持ち味であるメロディーセンスの良さは特筆すべきものがあり、それは③でも存分に味わうことができる。単純にかなり優秀なポップソング作っており、それをロックアレンジで聴かせてくれるとも言えるだろう。
④は美しい音色を奏でるピアノから始まり、緩急のある演奏で超エモーショナルに全力疾走。切なげな表情を見せながら走り抜ける様は瑞々しい魅力がある。
そしてラスト⑤はHold Out Hopeの良さをすべて詰め込んだ渾身の名曲。間違いなく多く人の心を捉えていると思われるこのメロディーラインはまさにポップミュージックの魔法というに相応しい。爽快感に溢れながらも同時に胸を締めつける切なさも内包しているのだ。
どの曲も感傷的な雰囲気抜群で切ない余韻を残しリピート必至である。次作のミニアルバムでは日本語詩の曲も聴くことができてそれも良いのだが、本作から感じられるイノセントは格別と言える。
OVER|SECONDWALL

2016/4/13 Iolite Records
1. 恋の終わりに、桜舞い散る
2. OVER
3. S.I.N
4. 何よりも透明で
5. 君の世界を (Re:Arrange)
「SECONDWALL」は2009年に結成されたロックバンド。本作は3枚目となるミニアルバムである。
プロデュースは幅広く様々なアーティストを手掛けているnishi-kenが担当している。
音楽性はエモコアやメロコアのエッセンスをたっぷりと取り込んだパンキッシュなJ-POPという感じで、切なげな表情を見せながらメロディックに疾走する曲を得意としている。
メロディーの良さを重視したストレートな作風にぴったりとハマっているYUKAの巧みな感情表現が光るボーカルの聴き心地が良く非常にグッド。こういったパンク寄りのメロディックな楽曲の良さを上手く引き出す映える歌声である。本作にはドラマ主題歌としてヒットしたことで知られる『恋の終わりに、桜舞い散る』など彼らの中でも人気が高い曲が収録されており、聴きごたえのある充実した内容となっている。
冒頭①が前述のドラマ主題歌でSECONDWALLの代表曲と言ってもいいだろう。この曲は単純にポップソングとして優れており、女性ボーカルのJ-POPとして秀逸な名曲である。フックのあるメロディーにシンプルで力強いサウンドはとにかくポップ。YUKAの歌声はエモーショナルな魅力があり、特にBメロの歌い回しが良い。続く②は、彼らの持ち味である疾走感溢れる叙情性のあるサウンド&メロディーがドラマチックに展開される。青春エモロックとして申し分のない切ない余韻を残してくれる。
③も青い衝動に突き動かされるエモいギターロックで高揚感が得られる。
④はやるせない感情を情緒たっぷりに歌う美しいバラード。メランコリックな雰囲気のパートからぐいぐいと盛り上げていき、感動的なフィナーレを迎える。歌声の良さがじっくりと楽しめるお得な曲である。
ラスト⑤はお得意のメロディックな旋律で真っ直ぐに走り抜ける。最後も熱さを感じるアグレッシブな曲で締めるのが良い。
どの曲もメロディックで爽快感のある女性ボーカルロックとして完成度が高い。
やはり大きなポイントはYUKAの声質や歌いっぷりで、可愛くも熱量のある女子力が高い歌唱が好きな人にはマストな1枚である。
THE BEST OF けちゃっぷmania|けちゃっぷmania

2009/4/8 Groovie Drunker Records
1. 200 MILES AWAY
2. MAKING EFFORT
3. IT’S IMPORTANT
4. 桜唄
5. PUNK POP FREAK
6. NUMBER.1
7. ALWAYS GREAT DAYS
8. The thing supporting me!!!
9. 姫の想い
10. LET’S HURRY
11. TOY BOX
12. ザ・スウィート☆ソング
13. LONG LONG RACE
14. WELCOME TO PARADISE
「けちゃっぷmania」(ketchup mania)は1999年に名古屋で結成されたポップパンク・バンド。本作はインディーズ時代の曲で構成されたベスト盤である。KOGA/GROOOVIE DRUNKER RECORDS からリリースしていた作品の美味しいところを収録しており、キュートに弾けるポップパンクが矢継ぎ早に繰り出される爽快感溢れる1枚である。
2000年代に雨あられのように登場したJUDY AND MARY(以下ジュディマリ)の系譜を受け継いだ女性ボーカルのメロコア/スカコア勢の中でもロリボイスを武器にした可愛らしい作風で人気があったバンドだ。この界隈で一番人気があったSHAKALABBITSは紅一点がカリスマギャルのような雰囲気をもっており、どちらかと言えば国民的人気獲得後のジュディマリに近いものがあった。対するけちゃっぷmaniaはロリータパンクと呼ばれていた頃の初期ジュディマリっぽい雰囲気をもっており、それが大きな魅力であったと言えるだろう。
冒頭①から疾走感溢れるメロディックパンク+キュートボイスというこのバンドお得意の軽快なビートに胸躍る。続く②はHIROのリズミカルなボーカルが可愛いスカパンク。けちゃっぷmaniaは英詩の曲だと更に可愛さが増すのが大きなポイントで、その真骨頂が本曲であり、キュートパンクのキラーチューンと言っていいだろう。③も英語の発音が可愛くて耳が惹きつけられる。これは少年ナイフに近い魅力があると感じられる。
④はジッタリン・ジンを彷彿とさせる歌謡曲っぽい歌メロが親しみやすいスカパンク。
⑦はメタリックな音に可愛い歌声というハードでキュートな1曲。
⑨⑪⑫⑬はチャーミングな魅力を振りまくメロディックハードコア。小気味よい疾走感と高速リズムで展開されるキャッチ―なメロディー&ロリ声が中毒性を生み出す。洪水のようなスピーディーなポップ感はこのバンドならではの面白さがある。また音楽センスは電波ソングに近いものも感じられる。いずれの曲も日本語詩の可愛い女子ポップパンクの傑作である.
⑭はGreen Dayの有名曲のカバーで、女性ボーカルを生かしたポップセンスが光る良いカバーとなっている。
当時の同系統のバンド勢の中でも最も歌声はキュートで楽曲もカラフルであった。
また2025年現在の耳で聴いても、現行のインディーズシーンにこういうバンドはあまりいないため、新鮮な魅力を感じることができる。
けちゃっぷmania は2005年のメジャーデビュー後は4枚のアルバムを残しており、2007年にはバンド名を「ketchup mania」に改名している。アニメのタイアップもあり売れそうな雰囲気も醸し出していたが、残念ながら2009年に解散している。
Love Eyes|Rocket or Chiritori

1997/12/15 Cardinal Records
1. Intro
2. Fifteen Love
3. Tv Game
4. Love Eyes
5. Betty
6. Trash Kids Hour
7. Star
8. Sad Song
9. Vacation(English Ver.)
「Rocket or Chiritori」(以下ロケチリ)は1990年代後半に渋谷系界隈で人気があった女性ソロユニット。本作は2枚目となるアルバムである。
当時現役女子高生であった「柴原聡子」によるローファイ系の宅録サウンドで、プリミティブな音や飾らない素直なボーカルなどイノセントを感じる瑞々しい作風が魅力である。音楽的に非常に興味深いものを作っているのはもちろんだが、やはり時代性を考えても女子高生というキーワードは重要であろう。
1990年代中盤から後半にかけて、女子高生ブームというものがあり、独自のファッションスタイルや文化は多大な影響力を誇った。10代の少女が社会のトレンドの中心となっていたのだ。この社会の動きは音楽とも無関係ではなく、例えば小室哲哉は明らかに女子高生をメインターゲットにしていた曲を作っていた。
そしてこの女子高生ムーブメントはどちらかというコギャルファッションやミニスカートを武器にした派手なイケイケ女子にスポットが当たる傾向にあった。そういったメディアで取り上げられる少女達とは一味違う存在感があったのが、このサブカル系女子高生という感じの立ち位置のロケチリである。本作は受験勉強の合間に制作したそうである。普通っぽいとか素朴とか言うと陳腐になるが、そういった佇まいの少女が日常生活の延長線上に生み出したリアルな空気感が漂う音楽が彼女の真骨頂である。
導入のインスト短曲①に続く②は、いかにも宅録という感じの生々しい音と10代特有のフィーリングが感じられる脱力的な歌声が良い。
③は通好みのロウな音質が心地良いインスト。不思議な浮遊感は中毒性があるもので、人間味が感じられる雰囲気も良い。アルバムタイトル曲である④と⑧は、アコースティックギター主体のサウンドにのる自然体の可愛らしい歌が心を和ませてくれてグッド。⑤は結構アヴァンギャルドに聴こえるのが面白い。商業的にポップソングとは違うねじれたサウンドは刺激的なものだ。⑦は心の赴くままにプレイした曲という感じで、身近に感じられる質感など等身大の美しさがある。
ラスト⑨は10代の輝きを詰め込んだ永遠のサマーポップチューン。手作り感たっぷりのプリミティブな音や清涼感溢れるメロディー&チャーミングな歌声が心地良く耳に響き、炭酸水が弾けたように胸に広がる名曲である。シングルでは日本語詩の別ヴァージョンとなっているが、この英詩ヴァージョンの方がローファイなサウンドとキュートなポップセンスが際立つ出来となっている。
10代でなければ作れない音楽があるとすればまさに本作がそれと言えるだろう。青い時代にしかない儚さや刹那感がたっぷりと感じられる傑作アルバムである。
2025年現在、柴原聡子はアートや建築の分野でウェブサイトや書籍などを手掛ける編集者として活動を行っている。
PL4E|Faint★Star

2015/7/7 Faint Star Tokyo
1. Hurly-Burly
2. メナイ
3. Boyfriend–A.S.A.P-
4. エレクトロニックフラッシュ
5. スライ
6. フィルム!フィルム!フィルム!
7. 今夜はRIDE ON TIME
8. Sleeping in your car
9. Lips!!
10. koboreteshimattamizunoyouni
11. Spilt Milk
12. レ・ミ・ラ
13. Tip Tap
14. スーパー・サマー・ワンダー
15. Boyfriend -A.S.A.P- Favourite Wild Summer Remix(好き好きサマーREMIX)
「Faint★Star」はHINA(元Tomato n’ Pine)とYURIAの2人組女性アイドルユニット。
本作は1stアルバムである。Tomato n’ Pineや9nineを手掛けたagehaspringsがトータルプロデュースを担当しており、それらのグループに通じるスタイリッシュなガールズポップがたっぷりと楽しめる内容となっている。いわゆる楽曲派アイドルの中でもルーズな部分がほとんどない完全無欠のポップスで、エレクトロポップやスウェディッシュポップなどのオシャレセンスの効いた洗練された曲の数々は完成度が高い。
冒頭①はTomato n’ Pineの『ジングルガール上位時代』と共に3枚目のシングル表題曲の候補になっていたお蔵入り曲。再生した瞬間からドキドキ感があり、トマパイを彷彿とさせるロマンティックな世界観や心地良いサウンドが爽快な気分を運ぶキラーチューン。特にサビのメロディーラインが記憶に残るものでグッド。
②と⑤は中田ヤスタカタイプのダイナミックな高揚感が得られるエレクトロポップ。少し陰りを帯びた歌声やメロディーが良い。
③はドライブ感たっぷりに疾走する力強く可愛らしいポップチューン。ご機嫌なグッドミュージックである。
⑥はまさに渋谷系アイドルポップという感じの胸キュンナンバー。Cymbalsを彷彿とさせるところもあり、甘いメロディーとアグレッシブなサウンドが良いバランスである。
⑧はキュートでソフトな質感のキャンディポップ。絶妙な小気味よさが耳を優しく捉える。
⑨は爽快なギターやキラキラしたメロディーなどカラフルで無敵感溢れるナンバー。この歌メロはかなり良い。
⑩はFaint★Starのデビュー曲で、王道的な感じのポップソングだが、最初にリリースする楽曲としては結構通好みの作風である。
⑪は本作では珍しい切ないバラード曲で、エモーショナルなサビの歌唱などが良い。
⑬はキャッチなリズムやフレーズに自然と体が揺れるグルーヴィンな躍動感が良い。
⑭は女性ボーカルと相性ばっちりのわくわくやときめきが上手く表現してあるハッピーポップス。
ポップス職人が作り出したような安定感のある曲の数々は安心して楽しめるもので完成度が非常に高い。バニラビーンズなどが好きな人にもオススメできる1枚だ。
DESTROSE|DESTROSE

2013/4/10 FLYINGCAT RECORDS
1. The Generations of Chaos
2. Headless Goddess
3. Sword of Avenger (Remix)
4. Skykiller
5. Destination (Album Version)
6. Romancer
7. Fenixx (Album Version)
8. Lifer
9. Nostphilia (Album Version)
10. 破壊の薔薇
「DESTROSE」は2005年にMina隊長(ギター)を中心に結成されたヘヴィメタル/ハードロック系ガールズバンド。本作は1stフルアルバムである。
結成当初はDESTROYAというバンド名であったが、2006年に改名してDESTROSEとなった。音楽性はかなり硬派な印象のメロディックメタルだ。幻想的な美しいメロディー、それを情緒たっぷりに歌い上げるMarinaのハイトーンボーカル、Mina隊長と成美によるアグレッシブなツインギター、mihoのエモーショナルなベース、 Harunaの重厚なドラミングと、確かな存在感を示す本格派女子メタルで、そのカリスマ性のある雰囲気は当時の評判通り女性版X JAPANという感じである。またボーカルを含めてメンバーの変遷が激しいバンドであった(初代ボーカルのEyeは脱退後に「Mary’s Blood」を結成)。
本作発表時の在籍メンバーが後に「FATE GEAR」(Mina隊長)「Disqualia」(成美)「LOVEBITES」(miho、haruna)など世界を股にかけるガールズバンドを結成したことからも分かるように、DESTROSEはガールズメタルシーンの発火点を生み出した偉大なバンドと位置付けることができるだろう。
クラシカルな導入曲である冒頭①に続く②は、重厚なヘヴィサウンドでメロディアスに疾走する名曲。ずっしりとした音壁を生み出すテクニカルなリズム隊と叙情性を持つメロディー、世界観をしっかりと聴き手に伝える巧みな歌い回しと文句なしの出来である。Marinaは歌唱力も高いが、元々の声質が良いので(ゴシックロックにも合いそう)、女性ボーカルものとして満足度が高い。
③は冒頭のいかにもメタルな叫び声から、手に汗握るDESTROSEワールドがフルスロットルで展開される。ダイナミックなビートや歌謡曲やアニソン好きにも受けそうな盛り上がる歌メロが熱い。④はこういうメタルが聴きたいと感じる人も多いのではないかと思われる王道的な渋い作風である。
⑥は彼女達ならではの音楽センスが冴えている曲で、歌モノロックとしてかなり秀逸である。緩急のある演奏、通好みのメロディーや絶妙な歌い回しなど、すべてに無駄がなく良い部分を集約して聴かせるのが素晴らしい。
⑦はMina隊長らしいメロディーが中毒性を生み出す。⑨は冒頭のカッコいいドラムから始まる哀愁のメロディーと力強い歌声でストレートに疾走するナンバー。
ラスト⑩は壮大な物語を奏でて感動のフィナーレを迎える。このバンドの魅力を集約した最後に相応しい疾走感と耽美な雰囲気をもつ1曲である。
ヘヴィメタルとしての完成度は非常に高く、エンタメ精神もあるがコマーシャルな作風に寄りすぎていないこだわりを感じさせるところが良い。後のメンバーの活躍を見ても、オールスターのようなメンツによる贅沢な内容で、ガールズメタルの中でも未だに人気が高いのも頷ける1枚となっている。また本作で圧倒的な歌唱を聴かせてくれるMarinaはDESTROSEを脱退後、「Mardelas」というバンドで人気を獲得している。
LABYRINTH IN MY HEART|aphasia

2003/3/5 キングレコード
1. a phases of the moon
2. Thief in the mirror
3. オンリー・ロンリー
4. Cryin’ in the dark
5. ガムシャラ
6. Too late
7. 光射す明日へ
8. Glass heart
9. イノセント・クライム
10. So long good-bye
11. Wasted time
1995年に結成されたハードロック・ガールズバンド「aphasia」のメジャーデビューアルバムで通算3枚目となる作品。
インディーズで着実に実力をつけて到達した完成度の高い硬派な女子ハードロックが楽しめる1枚である。一般的なガールズバンドの華やかなイメージとは異なるサムライのように研ぎ澄まされた鋭いハードロックは、音楽シーンの流行には左右されず、自分達の好きな音楽を追求する姿勢そのものだ。
本作がリリースされた頃は、ガールズバンドで本格派ハードロックをやるバンドなんてほとんどいなかったのである。その孤高の存在感はSHOW-YAからDESTROSE登場までの間を埋めるガールズバンドという見方もできるだろう。
本作は叙情的なサウンドに泣きのメロディーという王道的なハードロックが次々に繰り出される熱量を感じる内容である。全編に渡り叙情性を盛り上げるキーボードアレンジが秀逸で、ボーカルを務める 流風の切なさと力強さを兼ね備えた歌声も大きな魅力となっている。
SF物語が始まるような導入のインスト①に続く②は、シンフォニックなツボを突きまくりながら力強く疾走するaphasia渾身の名曲。キーボードの音色が効果的で、聴いてすぐに『来たな・・・!』と感じるあまりにも熱い旋律は強く耳を惹きつけるものでリピート必至。『よくこの曲を生み出してくれた!』とバンドメンバーにありがとうと伝えたくなるほど、すべてが堪らない1曲となっている。
③は歌謡曲やアニソンに親和性が高い歌メロとドライブ感のある演奏が良い。安心して聴ける安定感があり、このあたりは実力派ハードロックバンドならではだ。
④は凄まじい哀愁メロディー&サウンドに透明感ある切ない歌声。日本人が好む普遍的な叙情性があり、『堪らん・・・堪らんぜ!このクサメロ!!」となり何回も聴いてしまう魅力がある。そして⑥は更にエモーショナルなうねりを生み出すロックバラード。『孤独・・・絶望・・・もう終わりなのか?』という感じの悲しみが溢れ出す世界観にしんみりと浸ることができる。⑦はキャッチーなメロディーが冴える直球の力強いハードロックで気分が上がる。
⑧も伸びやかなボーカルが気持ちよく響く爽快感溢れるナンバー。
⑨はアカペラ歌い出しからドライブ感たっぷりのハードサウンドが走り出しアクセル全開。前のめりの疾走感は手に汗握るもので、エネルギッシュでカッコいい女性ボーカルロックのお手本のような力作。
ラスト⑪はスピード感溢れるメロディアスな旋律が熱い。最後に疾走感全開のアグレッシブな曲で締めるのがナイス。
一聴して耳に残るハード&ポップな哀愁の旋律はポップミュージックとして優秀なものである。時代が違えば売れてもおかしくない大衆性をもっていたので、ブレイクしなかったのは残念であった。Aphasiaはボーカルのメンバーチェンジを得て2025年現在も精力的に活動を行っている。
NANA|NANA

1990/02/21 J.A.P. Records
1. I Think We’re Alone Now
2. French Kissin’ In The USA
3. ガラスの涙 (Extended Version)
4. I Go To Pieces
5. Just Walkin’ That Road
6. 愛してる
7. Sweet Rainy Days
8. Blue
9. ひまわりの夢
「NANA 」は1980年代に活躍した博多のインディーズアイドル。
本作は1987年のEP『Féerique』と1988年のシングル『SWEET RAINY DAYS』をカップリングしたCDである。
音楽プロデュースはTHE ROOSTERSのプロデューサーであり、1984というバンド(本作でもバックで参加)で知られる柏木省三で、彼が主催したインディーズレーベル・PORTRAITより作品をリリースしていた。また同じ福岡のファミリーバンドDate of Birthも楽曲提供や演奏で参加している。音楽的には1980年代色が色濃いデジタルポップという感じで、NANAの透明感ある歌声によくマッチしている楽曲や洋楽のカバーなどが収録されており、アイドルとしての様々な表情が楽しめる内容となっている。
①②③④⑤⑥がEP『Féerique』収録曲。
①は当時大ヒットしていたアメリカの歌手Tiffanyのカバー曲(原曲はTommy James and the Shondellsが1967年に発表した楽曲)。日本語詩によるキュートなカバーとなっており、日本のアイドルならではの魅力が感じられる出来となっている。②はBlondie 解散後、ボーカルのDeborah Harryがソロで発表したヒット曲のカバー。こちらは原曲そのままに英詩で歌っており、大人の雰囲気溢れる渋い原曲とは一味違う、フレッシュなムードのアイドルらしいカバーとなっている。
③と⑥はDate of Birthの重藤功とNoricoが提供した楽曲。③は名作コンピレーション『SOME GIRLS – REBEL STREET IV』に収録されたものとは異なり長尺ヴァージョンとなっている。いかにも彼ららしい洗練された音楽センスが光るアイドルポップとなっている。アンニュイな歌声やドライブ感満点のギターなど聴きごたえあり。
⑤はTHE ROOSTERSの大江慎也がソロ発表した曲のカバー。原曲とは違うテクノポップアレンジとなっている。
⑥は力強いメロディー&サウンドのダイナミックな旋律の楽曲で、NANAの艶めかしい歌声が映えるナンバー。2025年現在聴いていると、通じるものがあるのか1990年代に登場するチエ・カジウラが思い浮かぶ。
⑦⑧⑨はシングル『SWEET RAINY DAYS』収録曲。
3曲共に作詞はNANA自身によるもので、作曲はDate Of Birthの重藤功によるものである。
⑦は清涼感ある歌声が普遍的なポップネスに満ちた曲調にばっちりとハマっており、キラキラした正統派アイドルポップの名曲である。サウンドの出来がかなり良くできており、バックを務める1984の演奏がかなりグルーヴィ―でカッコいい。⑧はいかにも歌謡曲からJ-POPへの移行期の時代に発表されたポップソングという感じの1曲。当時の邦楽シーンはこういう楽曲が多くあった。
⑨は1分程の短曲で、癒しを与えるふんわりとした歌声や曲調が印象に残る。
今となっては謎に包まれたインディーズアイドルであるNANAの魅力がふんだんに詰まった1枚である。メジャー系アイドルとは音楽性も立ち位置も違うので、Date of BirthやFLAT FACEと共に福岡の女性ボーカルものとして楽しむのがオススメである。
FACE|FLAT FACE

2013/10/16 ミディ
1. HONEYMOON IN PARIS
2. DADA
3. LOOK
4. シェリーに口づけ
5. 池を越えて
6. ガス燈の下で
7. 私もヒゲが欲しい
8. 新しいシャンソン
9. MBA
10. 日々の泡
「FLAT FACE」は日本のロック黎明期である1970年代に活動していたバンド「葡萄畑」のドラマーであった武末充敏と後にシンガーソングライターとして活動する高取淑子による福岡発の音楽ユニット。
本作は1986年にリリースした唯一のアルバムをリマスタリングして再発したものである。
夫婦による音楽ユニットということもあり、プライベートな空気を感じる作風で、エレポップやネオアコを基調としたヨーロピアンな雰囲気のオシャレなポップスを聴くことができる。
元祖渋谷系ユニットと呼ぶに相応しい内容で、今聴いても宝石のような輝きをもつポップソングの数々は色褪せてはいない。
また本作収録の『HONEYMOON IN PARIS』は福岡で1994年から2012年まで放送されていたKBC九州朝日放送の旅番組・るり色の砂時計のテーマ曲として使用されたことでもよく知られている。
冒頭①は前述の旅番組に使用された曲で、西洋的な雰囲気のエレクトロサウンドと牧歌的かつアンニュイでもある高取淑子のボーカルが心を和ませてくれる名曲。非常に聴き心地が良く上品な魅力がある。続く②はキュートな歌が印象的で、女性ボーカルのテクノポップとして優秀である。どこか懐かしさを覚える曲調はまさに1980年代エレポップど真ん中という感じだ。
③はフレンチポップ風のポップスで、喫茶店でかかってそうなオシャレで可愛らしい雰囲気に癒される。
④はフランスの歌手ミッシェル・ポルナレフの有名曲のカバー。ピコピコした電子音に可愛らしい歌声という元祖フューチャーポップとも呼べる早すぎたセンスが光る良い出来となっている。⑤はファンタジックなトリップ感が中毒性を生み出す。幻想音楽好きにオススメできる1曲である。
⑥は幻想的な雰囲気の耽美なポップス。親しみやすい歌メロと緻密なサウンドが絶妙に組み合わさり、独自の美意識ある世界観に引き込まれる。⑨は不思議なムードとふわふわした浮遊感をもつワールドミュージック色のあるナンバー。南国にぴったりで一音一音が気持ちよく耳に響く。ラスト⑩は透明感のある美しい歌声とサウンドが牧歌的に響く感動的なナンバー。
細部にまでこだわりを感じさせるサウンドや声質の良さが際立つ歌声など女性ボーカル・ポップスとしては文句なしの内容である。完全に後の渋谷系女性ボーカル勢を先取りしており、その先見性の高さは素晴らしいものがある。
Date of Birth|Date of Birth

1992/7/1 キティ
1. Do You Believe Yourself?
2. 1969
3. Time of Fire
4. Book of Dream
5. Because
6. You Are My Secret
7. Summer of Love
8. Time After Time
9. Lisa
10. Remember Eyes
福岡のファミリーバンド「Date of Birth」が1992年にリリースしたフルアルバム。
メンバーは藤重3兄弟に次男の妻Noricoという構成になっており、日本では珍しいファミリーグループである。フジテレビ異色の多重人格ドラマ『あなただけ見えない』の主題歌としてヒットした『You Are My Secret』が収録されているので、彼らのアルバムの中でも最も広く知られている1枚である。
前身バンド「MIND CONTROL」も含めて、この時点ですでに長いキャリアを誇るので、音楽としての安定感は抜群だ。オールドロックからニューウェーブまで消化した洗練されたポップソングの数々は日本人離れした音楽センスを感じさせるもので完成度が高い。ボーカルを務めるNoricoの大人の色気を放つクールな歌声も独自の雰囲気があり素晴らしい。
冒頭①はサイケデリックな雰囲気をもちながらもそこまで重くはなく、気怠さと爽快感が同時に味わえる秀逸なポップロック。続く②はオールドロック的な懐かしさを感じるサウンド&メロディーが小気味よく疾走し心地良く耳に響く。洋楽エッセンスを吸収しつつオリジナルなものとして仕上げるあたりはさすがである。
③は異国情緒溢れるワールドミュージック風のポップソング。幻想音楽好きにもオススメできるファンタジックなナンバーだ。⑤は壮大な雰囲気をもつ爽やかな曲で聴き心地が良い。特に間奏のギターの音色が素晴らしい。
⑥は前述のドラマ主題歌で、これ以上ないほどクールでスタイリッシュな名曲。ほとんど洋楽のように聴こえるが、こういったセンスのJ-POPはその後、たくさんでてきたのでその先駆けと言えそうだ。
⑦もドラマに使用された曲でこちらは挿入歌である。この曲もとにかく雰囲気が完全に洋楽のそれ。アコースティックを主体に展開される陰りのある旋律には奥深い魅力がある。
⑧は叙情性のある美しいメロディーや透明感ある歌声がアグレッシブなビートにのり気持ち良い。
ラスト⑩は日本テレビ系ドラマ『悪女(わる)』の主題歌として有名な1曲。この曲は1986年にもアニメ映画『扉を開けて』のエンディングテーマとして使用されている。この新録ヴァージョンもタイアップされているという珍しいパターンであるが、心がほっこりとする牧歌的なポップスとして優れた曲なのでそれも頷ける。
洋楽寄りのJ-POPとして完成された曲は聴きごたえたっぷり。家でじっくりと聴くのも良いし、ドライブなどのBGMとしても雰囲気を盛り上げてくれる。ポップミュージックとして色々な楽しみ方ができる1枚である。
REBEL STREET IV / SOME GIRLS|Various Artists

2021/11/20 SS RECORDINGS
1. ガラスの涙 / NANA
2. 赤いエナメル / MIND CONTROL
3. FALLEN ANGEL / CLAN
4. TOKINONE[時の音] / RITAN
5. RAVISHMENT / MENS
6. HEY!! / VIRGIN ROCKS
7. 桜の花は乱れ咲き / 蟻プロジェクト
8. CHINESE BOY / 日の丸ファクトリー
9. 彼女はアドバルーン / STILL
10. BABY FACE BOY / 麝香猫
11. ラーギーニー / BARBARA
12. ANNABEL LEE§ / 葛生千夏
本作は1987年にジャパン・レコードより発売された女性アーティストのコンピレーションアルバムの再発盤である。
本盤の帯では変更されているが、以前の盤では帯に『少年よ、はげみなさい。』と意味深なキャッチフレーズが記載されていた。その言葉通り当時のマニアックな女性ボーカルバンド/アーティストをディグる探求にはげめる1枚となっている。1980年代インディーズ系女性ボーカルのコンピレーションとしてはバルコニーレコードから発売された『くっついて安心』と並ぶ重要盤である。
アニソンで有名になった蟻プロジェクト(ALI PROJECT)など、後にブレイクしたアーティストも収録されているが、今となってはかなりマニア向けの内容である。とは言え当時の空気感をたっぷりと感じることができるので、若い世代が聴いてみると新鮮な魅力があるかもしれない。
冒頭①は博多のアイドル「NANA」の透明感あるキュートポップス。1980年代では非常に珍しい元祖インディーズアイドルである。
続く②は福岡のファミリーバンド「Date of Birth」の前身バンド「MIND CONTROL」によるスタイリッシュなデジタルポップ。
当時すでにDate of Birth名義で作品をリリースしていたが、ここで貴重な音源引っ張り出してくるところがマニアックである。
③は元ZELDAの鈴木洋子が率いる「CLAN」の音源。ネオアコ/ギターポップのエッセンスたっぷりのギターの音色や清涼感あるメロディーなど、キラキラした魅力を放つキラーチューンである。④は元GIRLSのRITAがボーカルを務める「RITAN」のワールドミュージック風味のスパイスが効いたサイケデリックな世界観が楽しめる。⑤はパンキッシュな疾走感が熱い「MENS」によるロックチューン。
⑥はハードコアパンク界隈で有名なTHE COMESのボーカルを務めたチトセのバンド「VIRGIN ROCKS」の音源。当時のパンクとメタルのクロスオーバームーブメントの影響かメタリックな音とハスキーボイスの叫びが熱いハードロック路線である。
⑦は当時の「蟻プロジェクト」の代表曲で、アルバム『幻想庭園』に収録されているものとはヴァージョンが異なる。こちらはよりプログレッシブなセンスが光るドラマチックな出来となっている。
⑧は福岡を拠点に活動していた女性2人組の音楽ユニット「日の丸ファクトリー」の音源。耽美な感覚をもつニューウェーブ系のシンセポップである。後に「Dimanche」と名前を改めてメジャーデビューしている。
⑨は山東トシエを擁するゴシックロック・バンド「STILL」の音源。名作ミニアルバム『Pale Face』とはまったく路線が異なるキュートなオシャレポップスで、新たな一面を垣間見ることができる。
⑩はマニアには人気が高いガールズバンド「麝香猫」(Jaco:neco)のワイルドなハードロックを聴くことができる。
⑪はフリーキーなロックを聴かせるガールズバンド「BARBARA」の音源。一風変わった女子ロックは刺激的な魅力があり、非常にユニークなバンドだ。
⑫は後にスーパーファミコン用ゲームソフト・ファイナルファンタジーVIのCM曲で知名度を獲得する「葛生千夏」による神秘的な雰囲気の短曲。
女性ボーカルをテーマに音楽ジャンルごった煮のサブカル系アーティストが収録されているバラエティに富んだ内容である。その方向性は当レビューサイト【Strange Girls Music】がやりたい路線と似たような感じであり共感を覚える。